頼れる姉貴は副船長!! U
□第49話
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※ATTENTION!!
災害的表現が含まれておりますのでご注意を!
注意分を読まずしてからの苦情は受け付けませんのでご了承ください!
↓それでは本編をどうぞ↓
「テメェ…一体どの面下げてここに来てんだ」
「そう邪険にするなよキイチ」
「黙れ」
ニヤニヤと顔を歪めて喋るティーチ。あぁくそ、手が届く所にいりゃあ速攻で殴ったのに。握りしめた拳がギリギリと悲鳴を上げる。
「キイチ!」
「お前らは後ろを頼む」
「だけど…!」
「頼む」
ティーチから視線は外さず、でも意識はこちらに。キイチの背中しか見えない俺達には、キイチが今どんな表情であいつを見ているのかなんて分かりはしない。だけど、声で分かる。
「こいつを殺すのは俺の役目だ」
何でこんなに怒ってんだ、なんて。聞くのは野暮ってもんだ。そう考えてたら、ここが戦場だということを忘れてついニヤけてしまった。そしたら隣にいたマルコに「キモい」って言われた。ひどいな!
「何ニヤついてんだい」
「だってよ、俺達のために怒ってくれてんだぜ?あいつ」
だらしなく緩んでいるであろう自分の顔をマルコへ向ける。マルコは照れ臭そうに、ニヤつきそうになっている口を押えるように手で覆ってそっぽを向いた。
「……まぁ、な」
「男らしすぎるよなぁ、全く」
いつだったか、あまりにも男らしいキイチに俺は「もっと女らしく生きればいいのに」と零した。…まぁ、俺としては冗談半分で言ったようなもんだったが、キイチは真剣な顔でこう返した。
『女らしくして、お前らを守ることができるのか?』
何この子超イケメン。
話を聞いたところ、最初っから男装なんてしているつもりはないとのこと。サラシは、戦うのに胸が邪魔だったから巻いていただけ。"俺"という一人称は、ある個人的な理由があったから仕方なく。
―――強くなったのは、自分の守りたいものを守れるようになるために。
「…俺らも、もっと男らしくならなきゃな!」
「へっ、フランスパンが何言ってんだ」
「鼻で笑うな!!」
なぁ、キイチ。俺らもお前を守りたいって思ってるんだぜ?姉さんなんて呼ばれてるけどさ、年齢的には俺らがお前の兄貴なわけだし?
「妹を守ろうとするのは兄貴の役目ってな!」
俺達のカッコカワイイ妹を傷つけようもんなら死ぬ覚悟をしな。
目の前に迫る海兵たちに、俺も自身の得物を構えた。
≡≡≡≡≡≡
「はぁ…っ、はぁ……!」
「ゼハハハ!俺を殺すって言ってるわりにはもう死にそうじゃねぇかよ、キイチ!」
さっきから赤犬と戦っていたこともあり、体力も残っていなければ血も足りていない。息切れもするし、頭が重くて気を抜けば俯きそうにもなる。ティーチだけなら何とかなったかもしれないが、赤犬も同時に相手をするとなると流石に俺が不利だ。二人を引き離すか?だがどうやって――――…
「!」
ぴちゃ、と。顔に一滴の雫が落ちた。雨?違う、これは、これなら……!
「(――…勝機、アリかもな)」
とりあえず、此処が海に囲まれた場所で良かったと心底思った。
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