頼れる姉貴は副船長!! U
□第48話
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「くそっ!そこを退けよお前!!」
「そうはいかん!!"烏"の所へ行けると思うな海賊共!!」
「ち…っ!!赤犬め…!!」
キイチへの道を塞ぐようにして俺とエースと白ひげのおっさんを攻撃してくる赤犬と呼ばれた大将。大将と呼ばれるだけあって、どんだけ俺等が攻撃しても前へと進ませてくれない。早くキイチのとこに行きたいってのに…!!
「…っあ、!」
俺のポケットからキイチに貰ったビブルカードがひらりと落ちた。前回見たときよりも更に小さくなってしまった、キイチの命を表す紙。これがなかったらキイチのとこに行けない。風に攫われてしまわぬうちに急いで拾おうと手を伸ばす。
「ルフィ!!!!」
エースの声が聞こえた。それと同時に熱風が俺の横を通り過ぎた。
「……エース…?」
振り返ったらエースがいた。でも、エースは俺じゃなくてエースの後ろにいる誰かを見てた。「何で…」という呟きが聞こえたけど、エースが俺の視界を遮っていて一体何が起こっているのか分からなかった。
「…俺の、弟に…ゲホッ……何、してやがんだ…っ!!」
数秒経って、随分と聞きなれた声が聞こえた。何でキイチがここに、とか、どうやってここまで来たんだ、とか。気になることはたくさんあったけど、それよりもキイチの左腕が赤黒いマグマに包まれていることの方が衝撃だった。
≡≡≡≡≡≡
「「「キイチ……ッ!!?」」」
ルフィ、エース、白ひげの声が重なる。ルフィがその場から動けずに座り込んでいると、エースが急いでキイチを赤犬から遠ざけた。
「キイチ、キイチッ!!」
「……っ…!」
エースに身体を支えられながら額に脂汗を滲ませるキイチ。だが、表情は痛みではない何か別のものに歪んでいた。
「"烏"…貴様ァ……!!」
「…、……、…………」
「…?」
キイチの小さな声が聞こえなかったのか、赤犬が眉を寄せる。直後、覇気でもなければ殺気でもない何かがぶわりとその場に広がった。周りに居た海兵が身体を震わせる。
「テメェ…、俺の、弟に……何しようとしてやがった………!!!!」
これは、純粋な『怒り』。
肌を刺すように感じるキイチの怒りに海兵達は怯えて後退りをし、赤犬は眉間の皺を増やした。
「…目障りな海賊を殺そうとした、それでええか?」
「ッ、んの野郎……!」
「貴様こそ何故此処におるんじゃ!処刑人は処刑人らしく殺されるのを待っていれば良いものを!!」
「家族を助けに来たに決まってんだろ!!」
キイチは口から溢れる血など気にもせず叫んだ。
「貴様らのような血筋など誰も望んではおらんわ!!」
「血筋が何だ!!誰の血が流れていようとも人間には変わりないだろうが!!人間を殺すのが海軍の仕事だってんのか!?」
「海賊であることはもちろん、鬼の血が流れている貴様らを処刑するのがわしら海軍の仕事じゃあ!!」
「その海賊であり鬼の血が流れている奴は俺の弟であり家族だ!!殺させるつもりなんて微塵もねェよ!!」
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