頼れる姉貴は副船長!! U

□第47話
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最初に聞こえたのは瓦礫が崩れるような音だった。次に聞こえたのは何かが燃えるような音や、爆発するような音、誰かの叫び声。



「――――!!」


「――、――――!!」



薄らと目を開ければ赤が目に入った。あぁ、俺の血か、と理解したと同時に視界が揺れた。俺が揺れてるのか?……いや、違う。これは、



「――キイチ!!!!」



オヤジの能力。声が聞こえた方に顔を向ければ、胸の辺りから血を流しているオヤジの姿が見えた。

段々と視界がはっきりしてきて、周りを見てみれば海軍と白ひげ海賊団とその傘下の海賊団が戦っているのが見えた。その光景はまるで戦争。視界の端では何故かルフィやクロコダイルの姿が見える。

一体何が起こってる…?何でこんな事になってるんだ…?



「あやつらはお前を助けに来たんじゃ」



俺の心を読んだかのようなタイミング。振り返ればじじいが俺の横に座っていた。



「………俺、を…?」


「そうじゃ。お前だけの為に、あやつらはあんなにも必死に戦っておる」


「…何で………」


「あやつらにとって、それほどまでにキイチは大切ということじゃろう」



その言葉を聞いてもう一度目の前の光景を見る。

オヤジも、エースも、マルコも、重傷を負っていたはずのサッチも、ルフィも。皆重傷を負っているというのに、それをものともせず必死に戦っている。

じゃらりと金属音が聞こえて、漸く俺は自分が海楼石の鎖で体中縛られている事に気付いた。俺の両脇に立っている男が持っている大きな刀から、こいつらは処刑執行人だと分かる。



「(……俺は処刑されるところだったのか?)」



まさか、それを止めるためにオヤジ達此処まで来たのか?俺を、助けるために?自分達が死ぬかもしれないというのに?

何でだ。俺にそんな価値無いのに。捨て置けば良かったのに。見殺しにしてくれて構わなかったのに。

どうしてこんな状況なのに



「(嬉しいって思っちまうんだよ……!!)」



大粒の涙が零れて処刑台を濡らす。どうにか涙を止めようと奥歯を噛み締めて俯くが涙は次々と頬を伝って黒い跡を作った。



「副船長ー!!」


「今直ぐそちらに行きますから待っててくださいねー!!」



俺のために戦ってくれてる。



「海賊め!!我々に楯突いて無事で済むと思うなよ!!」


「んなの知ったこっちゃねーよ!!」



俺のために命を懸けてくれてる。



「おい、副船長目覚ましたらしいぞ!!」


「マジか!?おーい、キイチー!!」


「キイチーvV!!」


「「エース隊長は戦ってるという事を忘れないで下さいいいいい!!」」



俺を闇から救ってくれようとしている。



「そこを退けよい!!」


「貴様等は"烏"を生かすという意味が分からんのか!?」


「知らねーなァ、そんな事!!」


「キイチは俺達の『家族』だ!!それ以外に何があるってんだよい!!」



俺を、このバケモノを、『家族』だと言ってくれる。



「…、馬鹿…やろ……っ…!!」



また一つ、雫が落ちた。



















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