頼れる姉貴は副船長!! U

□第46話
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「センゴク元帥!!一大事であります!!"白ひげ"に動きが!!」


「きたか…。監視船の報告だな!?ここへつなげ、直接聞こう」


「いえ…それが、"白ひげ"の本船モビーディック号の動きを監視していた海軍船全23隻……!!つい先程一斉に通信が途切れました…………!!!」


「!!? 何だと……!?」


「"新世界"にて他の海賊団の不穏な動きもあった様ですが――これでは奴らがどれ程の規模でいつやって来るか全く情報がつかめません!!完全にその姿を見失いました!!」


「…………………!!………やられた…!!――もう動き出していたのか!!!――どこで狙ってくるかもわからんな。キイチを収容している内はインペルダウンでの決戦も有りうると皆に伝えておけ!!」


「はっ!!!」




≡≡≡≡≡≡




「――こちらです、ガープ中将…。お気をつけて」


「ああ」



白衣の男が去ってから暫く経った。キイチが入っている牢屋の前に新たに現れたのはガープ。ピクリとも動かないキイチに目を見開いたものの、ガープは牢屋越しにキイチの前まで行きその場に腰を下ろした。



「……おーおー無残な姿に……一体何があった、キイチ」


「………」


「…まだ息はあるのだろう?」


「は、はい!そのように聞いております!」



返事を返さないキイチに不安になったのか、ガープは近くに控えていた看守に聞いた。だがしかし、依然としてキイチは喋るどころか動く気配すら見せない。ガープの眉が顰められる。



「キイチさんは、」


「? お前は元七武海の…」


「…キイチさんは"研究者"を名乗る男に連れてこられた時には、既にこのような姿じゃった」


「"研究者"?」


「キイチさんが何故このようになったのかはわしにも分からん…!一体政府は何を考えておるのだ…!!」



悔しそうに顔を歪めたジンベエ。政府、という単語にガープは眉間の皺を深くし、キイチをもう一度見る。いつも着けている眼帯や首の包帯は無く、口元からは大量に血が流れており、そしてキイチの着ている布のような物は白いところが無いほどに真っ赤に染まっていた。目は堅く閉じられていて開く様子が無い。腕や足には恐らく海楼石で出来ているであろう枷が嵌められている。

まるで拷問でも受けた後のようだと思ったガープだが、インペルダウンでは拷問など当たり前だろうと思い直す。だが、キイチの様子を見る限り、他の囚人達と同じような拷問を受けていたとは考えられない。



「("研究者"、それに…政府)」



この騒動が終わったら一度調べてみる必要がありそうだと心の内で呟き、ガープは未だ起きないキイチに話しかけた。



「キイチ、わしはもう行くぞ」


「……」


「これから戦争が始まる。早くせんと、何も守れんぞ」


「――――」



ガープの声が聞こえたのか否か……キイチは顔を上げる事も、声を発する事もなかった。ただ、ほんの僅かに唇が動いたように見えたのはただの気のせいではないだろうとガープは信じた。







―――…る、せぇよ…じじい…―――――









その数時間後。蛇姫ことハンコックがキイチの前に現れたが、キイチが目を開くことは無かった。





















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