頼れる姉貴は副船長!! U

□第44話
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≡≡≡≡≡≡



「何あの赤い目…」


「近付くな化け物!!」



赤い目が、嫌いだった。



「俺さ、キイチの目好きだ!」


「ルビーみたいで綺麗だよな!あ、それともリンゴか?」



嫌いだった赤い目が、好きになった。



「それに、お前の目ってアルビノってわけでもないのに赤いだろ?何かしら他の研究体とは違う結果を残せるかと思ってな」

「お前なんか生まれなければ良かったんだ」



好きになったはずの赤い目が、また嫌いになった。




≡≡≡≡≡≡


――――ドクン、



「ゔ、あ……ッ!!」



―――ドクン、



「? 何だ?NO,19786の心拍数が、」



――ドグンッ!!



「ア゙アアア゙アアアアアアアアアアアアアアアア゙ァア!!」




ギシッ!!海楼石で出来てるはずの手錠が歪んだ。研究員達の顔色が変わる。ミシミシと悲鳴を上げ始めた手錠に繋がれている手首からは血が滲んでいるのだろうが、もう自分が何を考えているのかすら分からない。ただただ込み上げてくる激情に身を任せて動いた。バキン、と手錠が外れた。研究員達の顔は真っ青になった。

脳が送る信号は赤一色で埋め尽くされていた。









殴って蹴って刺して潰して斬って抉って撃って裂いて千切って叩いて貫いて踏んで掴んで噛み砕いて吐き捨てて殺して殺して殺して殺して。










気付いたら、俺の周りには死体しかなかった。

いや、正しくは一人だけ生きていた。



「は、っ……がぁ…あ゙、ゔ…!!」


「………」



恐らく"元"研究員だろう。身体中血塗れで、腹が裂けて其処から内臓がはみ出ているのが見える。嗚呼、それも俺がやったのかとぼんやりとする頭で考える。血濡れの"元"研究員対して、俺は全身に血を浴びているものの殆ど怪我などしていなかった。いや、身体の所々から白煙が出ているところを見ると"元"研究員達も抵抗して俺を攻撃したのだろう。俺にそんなものすら効かないと知っていながら。自分達が研究していたことだ、知らないはずが無い。俺をこんな身体にしたのはお前等だ。

流れてしまった血は戻らない。掠り傷など3秒あれば治る。深い切り傷でも10秒あれば充分。腕を切り落とされたとしても1分あれば足りる。


自分でも分かる。尋常ではない。普通ではない。有り得ない。異常だ。まるで、



「化け、モノ……!!!!!!」



ああそうだ。
俺は化け物だ。

だが、お前等が其れを言う資格はないだろう。



「俺が化け物だってんなら、それを生み出したお前等は何なんだろうな」



ぐしゃっ。未だ何事かを喚いていた頭を踏み潰して、俺は白い…いや、赤く染まった部屋から出た。







そして、それから一週間後。
目が眩むほど眩しいあいつ等に会ったんだ。





















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