頼れる姉貴は副船長!! U
□第42話
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その日は憎いぐらい綺麗に晴れていた。
海賊になってまだ日の浅かった頃、久しぶりの島が嬉しくていつもより足取りが軽かった。ケーキ屋を硝子越しに覗いてアップルパイがないかどうか見てみたり、今後の航海に必要だろう食物を買い足したり、刀を研ぐ為に研ぎ石を買ったりと色々と用事を済ませる。確かこの島のログは1日。早めに出れるように準備をしておかなくては。
「(……このくらいでいいか)」
自分の船に買ったものを乗せ、食料や衣類などの確認をする。今回ならこのくらいでいいだろう。地図を見て次の島までの航路を確認すれば3日程度で着くだろうと予測できる。食料なら魚を釣ってもいいし、水なら困らない。(能力を使って海水から塩分だけを取り除いて水にする事が出来る。)
よし、と準備を済ませたことを確認した後、再び街へと向かう。まだ昼だ。少しぐらい遊ぶ時間はある。海軍がちらほら見えるがフードを被っていれば大抵の奴は気付かない。それでいいのか海軍。
暗い裏通りを歩き、表通りに出る時にフードを被ろうとした途端、後ろから複数の気配がして振り返る。刀を構えようとしたが、目の前にいた人間は海軍には見えなかったので少し思い留まってしまった。
「お前、"烏のキイチ"だな?」
「ん?何だ……っ!!?」
ほんの少し油断した。あの時刀を抜いてさっさと斬ってしまえば良かった、と後悔しても遅かった。後ろから頭を殴りかかろうとしてくる奴が目に入った時、あまりにも急展開過ぎて体がついていかず能力で海水になることも忘れていた。
―ガンッ!!
「っぐあ…!!」
意識が、ブラックアウトした。
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