頼れる姉貴は副船長!!
□第39話
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倒れたエースの姿があの時のサッチと重なる。
笑っているアイツがどうしようもなく癪に障る。
「おお…キイチ、副船長…!!」
「…止めろ。今更お前に副船長とか呼ばれても吐き気がするだけだ」
「ゼハハハハ!俺も嫌われたもんだなァ!」
「……お前、自分が何をしたのか分かってないのか?」
俺がそう言った時、目の前のコイツの口が気持ち悪いくらい歪んだ。そして、意気揚々と話し出す。
「分かってるさ!!俺はあの日、サッチをブッ殺してヤミヤミの実を手に入れた!!」
「………」
「そして今はエースをブチ殺し、政府の手土産にするつもりさ!!」
「……へぇ」
「最初は麦わらのルフィを殺るつもりだったんだが…そいつはエースの、あんたの弟なんだろう?」
「……あぁ」
「エースはそのことを聞いた途端に目の色変えて攻撃してきたんだぜェ!!素晴らしい兄弟愛だなァ、泣かせるじゃねぇか!!」
「……そうかよ」
「なぁキイチ…!!あの時も聞いたがもう一度だけ聞かせてくれ!!俺の仲間にならねぇか!?"白ひげ"の時代はもう終わりだ!!」
「…俺の答えは変わらない。俺はオヤジを海賊王にする。お前なんかが海賊王になんかなれるわけがない。
……ここで俺に殺されるお前にはなァ…!」
言い切ると同時に右手で刀を鞘から抜き、左手に銃を持つ。ティーチがまだ何か言いたげな顔をしていた気がするが、そんなのに構ってやれるほど俺は優しくしてやれない。
「(…エース、少しだけ待ってろ)」
未だ地面に力なく横たわっている血まみれのエースに一瞬だけ目をやる。そしてすぐに俺の数メートル先にいるやつに視線を戻した。
「さァ、ティーチ。始めようじゃねぇか!」
―ドンッ!
「っ!!」
手始めにティーチの足ギリギリのところを銃で打ち抜く。そうすると、ハッとしたように俺に顔を向けたティーチ。あの時のように能力を使うつもりなのか俺の方へ掌を向けた。
「『闇水』!!」
「!」
勢いよく引き寄せられる体。だが、以前のようにただ引き寄せられるほど俺は馬鹿じゃない。引き寄せられると同時に刀と銃を構える。そして、
―ドドドッ!!
「ぐッ!?」
ティーチが俺に触れる前に掌を撃ち抜き、撃たれて怯んでいる間に体勢を立て直す。それでも何とか俺を殴ろうと振り上げられたティーチの拳を刀の刃の部分で受け止めた。
―ブシュッ!!
「グァアアッ!!」
そして拳を刀から退かし、よろめいたティーチの腹に覇気を纏わせた脚で横に蹴っ飛ばす。俺よりでかい巨体は軽々と吹っ飛び、そのまま街の残骸へと埋まった。
「…触れられたら攻撃されるのが分かってんだ。なら、触れられる前に攻撃すれば問題は無い」
いつでも撃てるようにティーチが埋まっている辺りへ向けて銃を構えておく。
「くそ…ッ!!」
「どうした?まだまだ始まったばっかだぜ?」
低く唸りながら瓦礫の中から這い出てきたティーチを鼻で嗤う。また手をこちらに向けようとしているのを見て、ティーチの掌を銃で先程撃ったとこと全く同じとこを撃った。
―ドンドンドンッ!!
「グァアアッ!くそォ!!」
またしても同じように痛がり叫ぶティーチに歩いて近付いていく。荒く息を吐く姿を見据えたまま空になった弾倉を投げ捨て、腰につけていたポーチの中から出した新しい弾倉を銃に取り付けた。
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