頼れる姉貴は副船長!!
□第34話
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「…すぴー」
「(………何だこの状況)」
ふと目を開けたら目の前には寝ているルフィのドアップ。何事かと驚いて後ろに下がろうとするが、後ろに壁があるのか下がれない。ゆっくり振り返ればエースの寝顔。
「ぐがー…」
「……」
一体何なのだろうか。俺は全く覚えが無い。…というかベッドで寝た記憶すらないんだが。
いや、よく考えろ俺。何かあった筈だ。そうでなければコイツらと同じベッドで寝るわけがない。暑苦しい
「んふふー…キイチー…」
「キイチ……じゅる…」
「(何の夢を見てるんだコイツら。つかルフィ、涎が…)」
思い出そうと首を傾げていたが、エースが後ろから更に強く抱き締めてくる上に、ルフィは俺の服に涎を垂らしてきたため思考は中断された。
……畜生、この服お気に入りだったんだぞ。後で覚えてろよこの野朗。
「……キイチ…、バナナに…ちかよったらあぶないだろー…」
「キイチ……おれのふねの…ふくせんちょうに…」
バナナってマルコの事かエース。本人に言ったら殺されるぞ。というかルフィはいい加減諦めろ。しつこい。
とりあえず暑いからコイツらを引き剥がそうとするが、
ぐぐぐっ
「……〜っ!!」
……何でコイツらこんなに力強いんだ。剥がそうとすればするほどしっかりと抱きついてくる。だから暑いんだって…！
「んー…キイチ〜…」
「じゅるる……肉〜…」
「(……っこの野朗共…!!)」
エースは幸せそうに俺の名前を呼びながら、ルフィは肉を食べている夢でも見ているのかもぐもぐと口を動かしながら俺を抱き締めてくる。
流石にそろそろ怒ろうかと思って体にぐっと力を入れたその時、
「…しし、キイチー……好きー……」
「大、好きだ……キイチ…」
「………、…」
今度は一体何の夢を見ているのか、俺の腰にまわった腕に力を込めてにへらと笑ったルフィとエース。俺は思わず開きかけた口を閉じた。
嬉しそうにだらしなく口元を緩ませた弟達は、何度も俺の名前を呼んではぎゅうぎゅうとが抱き締めてくる。正直言って苦しい。…けど、
「……ばーか」
悪くない、と思ったのはここだけの話にしておこう。
翌朝、本気で絞め殺されそうになって怒った俺がまたしてもこの二人を甲板に正座させたのは言うまでも無い。
何だかんだ言いつつも
(ブラコン、なのかなぁ……俺)
(キイチー…)
(俺もうだめ……)
(…何回目かしら。この光景)
(…懲りない奴らだな)
→おまけ