頼れる姉貴は副船長!!

□第33話
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麦わら船長よろしく、メリー号のシンボルともいえる船首の上に座っているキイチ。(後ろではルフィとエースによるキイチ争奪戦が繰り広げられているがそこは皆スルー)キイチはそよそよと吹く潮風に気持ち良さそうに目を細める。



「…なあ」


「ん?」


「…鷹の目の話はどうなったんだよ」


「あー、あれか」



キイチが振り返えらずに答えると、後ろから返ってきたのは不機嫌そうな声。



「お前に勝ったら教えてくれんだろ」


「んー」


「だからもっかい勝負しろ」


「どうせもう一回やっても結果は同じだろ」


「…あ゙ぁ?」



そうキイチが返せば後ろからは明らかに苛立った声が返ってくる。

キイチが目だけを後ろに向けるが、そこにいるのは眉間にいつも倍は皺を寄せているゾロの姿。



「…俺が絶対お前に勝てないとでも?」


「ん。今はな」


「(ムカッ!)っお前そこから降りて来い!今度は容赦しねぇぞ!」


「……へぇ、さっきのは容赦してたのか?」


「うぉっ!?」



いきなりゾロの目の前に降りて来たキイチ。あまりにもいきなりだったからか、ゾロがよろけて数歩後ろに下がった。



「このぐらいで驚いてる奴が俺に勝てんのか?」


「っ、うっせえ!!」


「つーか別に俺に勝たなきゃ教えないとは言ってねぇよ」


「はぁ!?」


「俺が言った言葉にお前が勝手に怒っただけだろうが」


「んなわけ…………ねぇ…、よ」


「あるから」



思い出したのか語尾の方が少しずつ小さくなっていったゾロ。それを見て、まぁ話を横に逸らした俺が悪いんだけどな、とキイチは苦笑した。



「俺とミホークは……何だろうな、知り合いって程知らないわけじゃないし…ライバルってわけでもないし…………しいて言うなら…好敵手、かな」


「好敵手?」


「ん。たまに会ったら手合わせして、気が乗らなければ一緒に酒飲んだりしてる」


「…それって好敵手っていうのか?」


「んー…まぁ友達っていうのも何か変だし、それが一番しっくりくる」


「……へぇ」



ゾロは納得したような、してないような曖昧な表情で返事をした。しかしハッとした顔になってキイチに聞く。



「ま、まさか鷹の目に勝ったりとか…」


「んー、どうだったかな。何回か勝ったと思うが…大体は決着がつく前に止められるからな」


「…どんな戦い方してんだよお前ら」


「普通に刀で戦ってるぞ?まぁ気が付いたら船がボロボロになってるけど」


「………」



キイチの言葉に、あんぐりと口を開けたまま信じられないものを見るような目でキイチを見るゾロ。その視線にキイチは気付かないまま言葉を続けた。



「その中でも一番酷かったのは気が付いたら船が沈みかけてたのだな。流石にあの時はオヤジに殴られた」



はは、とキイチは笑ってその時殴られた頭をさする。でもその勝負は俺が勝ったんだぜ?と言ってキイチはニヤリと口端を上げた。



「鷹の目に勝ったような奴に俺は戦いを挑んでたのか…」


「ま、人は見ただけじゃ分かんないしな」


「全くだな…」



ガクリと項垂れるゾロを見てキイチは楽しそうに笑った。ゾロは恨ましげにキイチを睨むがますます楽しそうに笑われるだけだった。


















「「キイチから離れろ毬藻!!」」


「狽ヤふっ!?」


「あ、」



ルフィとエースがゾロに突っ込んでくるまでは。




















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