頼れる姉貴は副船長!!
□第27話
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「キイチー」
「ん?」
「まだ島には着かないのか?」
「んー……どうだ?」
『グルルル』
「…もう少し先みたいだな」
「……キイチ、いつも思うけどよくソレに乗れるよな…」
「?案外コイツらは良い奴ばっかりだぞ?」
「いや、それがよく分からん」
「ふーん…?」
船を出て数時間。俺とキイチは海を進んでいた。
勿論俺が乗ってるのはストライカーだが、キイチが乗っているのは…海王類の背中。しかも特大の。恐ろしいなおい。
「いい奴なんだけどなぁ……?」
『グルゥ……?』
海王類の背を撫でながら首を傾げるキイチ。同じように海王類も首を傾げる。
何て言うか………うん。シュール。
キイチが食ったウミウミの実の能力なのか、キイチは海王類と話す事が出来る。幼少時にそれを目撃した時はルフィと驚いた記憶がある。
本当に会話出来てるのか怪しいところだが、海王類もキイチの言ってる事にちゃんと反応してるのを見ると会話出来てるんだろうなぁ。多分。
「(せめて犬とか猫になら可愛いのに……)」
いつ見ても心臓に悪い。いや、別にキイチが海王類に食われるとかそういうワケではないのだが……。何か絵的に。
「あぁ、そういえばこの前は島まで案内してくれてありがとな、ルーナ」
『クルルルル……』
「…何?クウラが?それならまた行かなきゃいけないな…」
ルーナって…海王類にも名前あんのかよ。てかフツーに会話してるし。つか誰だクウラって。行くってどこにだ。
「クウラならエースも知ってるぞ?」
「は?」
「ほら、フーシャ村の海岸で俺と話していた奴」
「あぁ……ってあの馬鹿でかい海王類かよ!?」
「今は昔より大分成長してるけどな」
待て待て待て!あの時見た奴って相当でかかったぞ!?まだ成長すんのかよ!!スゲーな海王類!!
『グルゥ!』
「お。島が見えてきたぞ」
「おーホントだ。よしキイチ!島まで競争しようぜ!」
「は?」
「負けたほうが昼飯を奢るってことで!!」
「俺が泳いでるワケじゃないんだが…ってもういないし」
キイチが後ろで何か言ってたようだがもう聞こえない。というか早く島に着いて欲しい。だって、
「飯が俺を呼んでいるぅううう!」
「(何をワケの分からん事を……)悪い、ルーナ。もう少しスピードを上げてもらっても良いか?」
『グルゥウウ!!』
そして数分後、海岸には息を荒くしてぐったりと横たわる俺と、悠然と歩くキイチの姿があったとかなかったとか。
≡≡≡≡≡≡
「ハァ……何であの海王類、ハァ…、あんなに速いんだよ……」
「ルーナは俺が知ってる海王類の中でも最速だからな。速くて当たり前だ」
「マジかよ…」
げんなりとした表情のエース。相当頑張ってストライカーを走らせていたのだろうが、流石に海王類の中で最速のルーナには敵わなかったらしい。
「つーか、あのルーナとかいう海王類は良いのか?」
海に潜っていっちまったけど…。と聞いてくるエース。……お前なぁ、
「普通に考えてみろ。あんなにでかい海王類が海岸にいたら街の人間が驚くだろうが」
「あ、」
「最悪、海軍とか呼ばれてルーナが殺されるだろ」
まぁそのぐらいで海軍が動くかどうかは分からないが、ルーナが攻撃されるのは目に見えてる。流石にそういうのは避けたい。
「俺が呼んだらまた来てくれるさ。ほら、飯が食いたいんだろ?」
「っ!おう!!」
前方に見える飯屋を指せば嬉しそうに走っていくエース。おい、走ったらまた…
「へぶし!」
ズシャァアアア!
「…はぁ、」
……頼むから少しは成長してくれ、弟よ。
どこかデジャビュを感じながらも転んだエースの下へ歩く。つーかだいぶ派手に転んだな。
「いててて……」
「昔から変わってないなお前は……」
飯ー!と言いながら走っていって、俺が注意するものの結局足を縺れさせてルフィと一緒に転ぶ。おかげでフーシャ村にいた時はエースもルフィもほぼ毎日のように絆創膏を膝に貼っていた。
「全く…仕方ないな、お前は」
昔と同じように顔や体に付いた砂を掃ってやり、膝の擦り剥いた部分には手から能力で塩分を取り除いた海水(ようするにフツーの水)を出して綺麗にしてやる。そしてすでに持ち歩くのが癖になってしまった絆創膏を貼る。
「へへっ、サンキュ!キイチ!」
「もう転ぶなよ」
「ん!」
力強く頷いたエース。今度は俺の手を引いて足早に歩き出した。
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