頼れる姉貴は副船長!!

□第18話
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「そういや、キイチって何で眼帯してんの?」


「は?」



夕食時、いきなりキイチの眼帯を指したハルタ。何かと思えば、白ひげのクルー全員が気になっているであろう冒頭の質問をしてきた。



「んー、これは…名誉の怪我ってやつ?」



眼帯を外したキイチの目(正確には瞼より少し上辺りから目の下辺りまで)には一本の傷があった。



「あー、それ懐かしいな」


「まだ俺とエースがフーシャ村にいた頃のだしな」


「…目、見えないの?」


「んー?見えるといえば見えるが……ぼんやりとしか見えない感じだな」



いつもは眼帯によって隠れていたキイチの右目。開かれた右目は左目と違って少し濁った赤色をしていた。



「何でそうなったったんだ?」


「直球だなラクヨウ」


「ん。さっきも言ったけど、俺とエースがフーシャ村にいた頃の話なんだけど――…」
















「しししっ」


「こっちに行こうぜルフィ!!」


「おいルフィ、エース!!」



まだまだ俺もエースもルフィも子供だった頃の話。その日は暫く雨が続いて久しぶりに晴れた日だった。



「おおっ、キノコ!」


「うまそー!!」


「お前らそれ毒キノコだから!!」



わんぱくな弟達は、今日が晴れたと知った途端、俺の手を引いて森へと走っていった。



「こっちこっちー…ってうわあぁああ!!?」


「どしたルフィ…っどぁああ!!!?」


「お前ら…今度は落とし穴か…」



…訂正、わんぱくすぎる弟達は色んなものに興味を持ってそこら辺を駆け回る。

そのせいか弟達は毒キノコ・落とし穴・動物を仕留める為のものであろう罠etc…に引っ掛かる。それを助ける姉の身にもなってくれ。


―…ん、何だエース?……あの時の俺はかっこよかった?馬鹿、誉めても今日の書類はやってやらんぞ。


…と、まぁ俺は色々と苦労しながらルフィとエースを追い掛けて(助けて)たんだが……



――…ドンッ


「いでっ!!」


「ルフィ!!」


「あん?何だ?」


「……」



……今度は山賊かよ。



「おいコラ餓鬼」


「あ?何だお前ら」


「てめェ……俺を誰だと思ってんだ」


「知らね」


「変な髭だな」


「こんのクソ餓鬼共ォオオオ!!」


「うわぁっ」


「わわわわっ」



ルフィとエースの言い様に流石にキレた山賊の頭であろう変な髭野郎。勢いよく二人の頭をわし掴む。……っておいコラ。



「てめェ…何俺の弟達に手ェ出してんだよ」


「あぁ?」


「何だコイツ」


「「キイチ!」」


「キイチ…?」


「か、頭!!キイチっていえば最近この村で有名な…!!」


――…ガッ!


「へぇ?俺有名なのか」


「…むぐっ……!!!」


「…教えてくれよ。どんな風に有名なんだ?」


「…………!!!!!」



喋らせる暇を与えず、相手の口を塞ぐ。……塞ぐ、というより掴んだ。殺気を籠めて睨めば震えだした。それでも男かよ。

舌打ちして、男を投げ捨てる。情けない悲鳴が聞こえたが気にしない。そして未だルフィとエースを掴んでいる男に目を向けた。



「おい、そこの変な髭。さっさと弟達から手を離せ」


「あ゙ぁ!!?何だと!!」


「………聞こえなかったか?離せって言ったんだよ」


「……っ!!!」



今度は覇気を込めて睨む。頭らしいが、流石に俺の覇気には敵わなかったようで、手の力が緩んだ隙にルフィとエースは俺の所へ走ってきた。



「キイチっ!!」


「キイチ…!!」


「ルフィ、エース大丈夫か?」


「「ん!!」」


「…それは俺の真似か?」


「「ん!!」」



元気良く頷くルフィとエースに溜め息を吐いた。二人の手を引き、その場を離れようとする……が、



……パンッ


「、おっと」


「…俺が、お前らを素直に帰すと思ってんのか?」


「五月蠅いな、さっき俺の覇気で青ざめてたくせに」


「っ!!うっせェ!!!!お前ら、こいつら生きて帰すなよ!!」


「「うぉおおお!!!!」」


「………はぁ、めんどい」



能力を使おうかと思ったがここは森の奥だ。池や湖でもあれば良いのだが、生憎それらしいものは見当たらない。

もう一度溜め息を吐いて、とりあえずルフィとエースを抱えて山賊共の攻撃をかわす。

だが、攻撃が当たっても俺は海水になるため意味がない。



「てめェ…!!能力者か!!」


「正解」


「ぐぁっ……!!!」



俺が5人目を蹴り飛ばした時には、山賊共にも焦りが出ていた。確かに人数ではあちらの方が多いが、奴らの方に能力者がいないとなれば、いくらルフィとエースを抱えてるとはいえこっちの方が有利だ。



「っこの!!」


「!」


――…スパッ


「え…?」


「キイチ!?」


「……海楼石、か」


「ご名答〜♪」


「…ちっ、面倒だな……」



ルフィとエースを抱え直し、海楼石が仕込んであるナイフを持った男を睨む。…いや、待て。周りの奴らも同じようなのを持って……!!



――…ザクッ!


「…っ!!」


「「キイチ!!」」


「ぎゃははは!!能力者なら海楼石が苦手なんだろ?」


「俺達は能力者と戦闘になっても良いように、海楼石の仕込んである物は全員持ってんだよ!!」


「……ちっ」



また舌打ちをする。…全く厄介な奴らだ。せめて水さえあればさっさと終わらせられるのに…!!



「キイチ!」


「俺らを降ろせ!」


「…はぁ!?何言って…」


「俺らが水のある場所探してくる!!」


「それに、俺らを抱えてたら戦いにくいだろ!!」


「けど………っぐ!!」


「キイチ!!」


「早く!!」


「…ちっ、死ぬんじゃねェぞ!!」


「「ん!!」」



山賊共の隙を狙い、さっとルフィとエースを離す。しかしそれに気付いた山賊がそれを追おうとする。が、



―…ドガッ


「ぐあっ!!」


「行かせるかよ」



俺の弟達に手出しはさせねェ。

















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