頼れる姉貴は副船長!!
□第11話
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―――…消えろ化け物!!
――…おやおや、随分珍しい実験体だねぇ
―…お前は生まれてきちゃいけなかったんだよ!!
――…ふふ、ちょいと体をいじるだけさ
―――…こっちに来るな!!
――…この実験が人の役に立つんだ
―…近付くな化け物!!
――…素晴らしい!成功だ!!
「――…っ!!!?」
起きたそこはあの真っ白な部屋――…ではなく自室だった。
「はぁっ……はぁっ…」
今更昔の夢を見るなんて…。くそっ、嫌な気分だ………。
「―――……」
鏡の前に立ち、そっと首に巻いている包帯を外す。そこにあるのは忌々しいあの政府のマーク。
ガリ、と爪を立ててみる。力が強かったのか、血が滲んできた。だが、その傷口から小さな白煙が出たと思ったら直ぐに塞がった。
「…まだ…消えねぇ、な…」
ぽつりと呟いた言葉は誰にも聞こえる事なく空気に溶けた。
≡≡≡≡≡≡
昔、俺はエースとルフィと一緒に暮らしていた。
2人共大食いだから生活は困る事が多かった。マキノさんがよく飯を食べさせてくれたから助かったが。
2人と生活するのは楽しかった。けど、俺は海に出た。
「俺、海賊になるよ」
そう告げた時の2人の驚き様は凄かった。だが、それ以上に引き止めようとする勢いの方が凄かった。
「いやだ!!行くなキイチ!!」
「行くなキイチ!!」
「行くなら俺も連れてけ!!」
「俺も!!」
「俺の船に乗れ!!」
…最後のはシャンクス。もちろん「乗らん」と即答した。
2人(3人?)の言葉を聞きながら海に出た。最初は慣れない事ばかりだったが、大分慣れてきた頃にそれは起きた。
「お前、"烏のキイチ"だな?」
「ん?何だ……っ!!?」
不意打ちだった。まだ俺は幼かったから油断していて、いきなり頭を殴られ気絶してしまった。目が覚めたら真っ白な部屋にいて、俺の周りには白衣を着た人間がたくさんいた。
「――…あ゙ああぁあ゙ぁっ!!!?」
気が付いたら何か熱いものを首に押し当てられて、何度も手に注射されて、
「素晴らしい!成功だ!!」
やけに嬉しそうな声を聞いて吐き気がした。
周りはいつの間にか真っ赤になっていて、俺はそこから抜け出した。なんとか海まで出たがもう力が出なくて倒れた。
「(もう死ぬのか…?)」
それは出来ない。まだ2人の弟を置いて死ぬなんて嫌だ。
だが、死んだら俺の汚された鬼の血を誰にも利用されることなくおわらせらることもできる。
…あぁ、もうわからなくなってきた。
「……ルフィ、エース」
ごめん、とつぶやいて、めからなにかがこぼれた。
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