頼れる姉貴は副船長!! U

□第53話
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「…………なよ…」



もうお前の闇は止められない?



「…ふ…、けんなよ…!」



どうせ死ぬなら俺に殺されたい?



「ふざけんな……!!!!」



お前、家族を何だと思ってんだよ。
家族に家族を殺させるつもりかよ。
その後悲しむ奴がいるって考えなかったのかよ。




「なぁティーチ…俺が何だか知ってるか?」



疑問符を浮かべるティーチに、胸倉を掴む手に力が入る。ギリギリと服の繊維が悲鳴を上げた。



「白ひげ海賊団、副船長及び特攻隊隊長…」


あぁ、そうだ。

白ひげ海賊団だ。副船長だ。特攻隊隊長だ。
それは全て俺の"肩書き"だ。間違っちゃいねぇよ。

…だがな、その前に俺は。



「お前らの姉貴やってんだよ!!」



俺より年上?俺より背が高い?そんなの関係ねぇ。



「俺はお前らの姉貴だ!」



そんで、お前らは俺の弟だ。



「姉貴が何でいるのか分かるか?」



弟を護るためだろう。
弟を甘やかすためだろう。
弟を叱ってやるためだろう。
弟に間違いを教えてやるためだろう。
弟の間違いを正してやるためだろう。

弟を、愛してやるためだろう。


――それでも、一番は。



「弟に、頼られるためだろ……!!」



ちっせえ間違いを犯そうが、でっかい間違いを犯そうが、そんなのどうだっていい。

弟は姉貴の背中を見て育つんだ。どんな間違いだって、正してやらなくちゃならないのは姉だ。



「あぁ、そうだ…お前はでかい間違いを犯したよ、ティーチ」



――"姉貴"に頼ろうとしなかった。



「ヤミヤミの実?お前自身の闇?海賊王?…全部、全部、俺に話せば良かったじゃねぇか!頼れば良かったじゃねぇか!!」


「ッ…言えば、何か変わったのかよ!?」


「あぁ、変わったさ!ヤミヤミの実を見つけたなら海に捨てた!海賊王になりたけりゃ自分でなれと殴った!!」


「そんな簡単にいくわけねェだろッ!!」



確かに、ヤミヤミの実が何処に存在しているなんて誰だって分かるわけがない。家族の中に、オヤジを差し置いて自分が海賊王になりたいと野望を抱いている不届き者を見過ごせるわけがない。

だが、



「いかせるんだよ!!!!」



俺が何のために姉貴やってると思ってんだよ。

ヤミヤミの実の情報を掻き集めて、それらしい物があるという報告があれば探しに行ってやる。各地の知人に捜索の手伝いを頼みに行ってやる。悪魔の実を見たら無闇に触らないようクルーに注意を促してやる。

海賊王を夢見たのは誰だって同じだ。だからあんだけの人数集まって白ひげ海賊団をやってんだ。その夢を誰も笑い飛ばしゃしねぇ。なりたけりゃ俺やオヤジを倒せるくらい強くなれと小突いてやる。文句を言う奴がいれば俺がそいつらをマストに吊り上げてやる。



「だから、」



俺を頼れよ、馬鹿ティーチ。



「姉貴ってのは、弟に頼られるためにいるんだよ!!!!」



弟が良い事をしたなら褒めてやる。弟が馬鹿をやったら叱ってやる。弟が困れば手を貸してやる。弟が泣きそうだったら慰めてやる。弟が頼ってきたら、助けてやる。

そのための、姉貴だろ。














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