おはなし

□ふわりの一言
1ページ/1ページ



今日はキッド君
と一緒に図書室で勉強をする日。



一週間前から
待ち遠しくてしょうがなかったが、ついにこの日がきた




「おい、マカ…」


かき消されそうな声で
服を引っ張たのはソウルだった



「な、なによ?どーしたの……?」



顔からは血の気が引いている感じで、真っ青



「ふ、腹…痛がっ……」



「腹痛!?そんな真っ青になって……。保健室いってきなよ」



「そ……」


なにかを言いたいのか、声が小さくて聞き取れない



「え?」





「そ、掃除当番………やっといてくれ…」



なっ!
なにぃい!?


今日はキッド君と約束があるのにー


でも、この状態じゃ
まともに掃除でかないだろうし…………




「しょうがない!いいよ!保健室いってきな」



「わ、悪りぃな。じゃ……頼んだ」



ソウルは
よろよろしながら
教室を出て行った




「まったくー。さっさと終わらしちゃおーっと」



ゴミを取り、後はゴミ捨だけになったころには約束の時間を過ぎていた


勢いよく階段を駆け下りた


運悪く最後の一段を踏み外し転んでしまった




「いったぁあ……」



ゴミ箱はひっくり返り
ゴミは散乱状態になっていた



「やっちゃったぁ」


ゴミを片付けていたとき階段を誰かが降りてきた


「マカ…?」



「げっ!キッド君っっ」


不運なことに
この恥ずかしい現場を
大好きな人に見られた
これ以上に最悪なことはない




「げっ!とはなんだ!!それより、この状態はなんなんだ?」




「い、いやぁ階段でこけちゃってー」


あー
恥ずかしい
最悪だ

と頭のなかで何度も呟く



「転んだんだのか!?大丈夫か?怪我はないか?」



「え?大丈夫だよ。ゴミは散らかっちゃったけどね」



あんなに心配してくれるんだ。やっぱ優しいな



「大丈夫だ。一緒に拾えばすぐに終わる」



「ありがとう!あ、ごめんね図書室いけなくて………」



今日はキッド君と図書室で勉強する予定だった
なのに、ゴミ拾いで幕を閉じるなんてー



「俺は図書室でも、階段でも教室でも、マカといればどこでもいいんだ」



そう言って、ニコっとする優しい笑顔


「あ、ありがと」



「マカ、顔赤いぞ?熱でもあるのか?」



キッド君のせいだっ!




ふわりの一言



(誰のせいよっ)
(ん?)


結局、ソウルは
ただの腹痛でした。


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ