イナズマイレブン


代わり
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※円風前提





人気のない土手。
明るかった昼下がりの風景は
今ではもう夕陽の沈む時間帯に
まで過ぎて、辺りを闇に
染めていった。
そんな闇に染まりつつある
土手に、雷門イレブンの
キャプテンである円堂守が
座り込んでいた。
しかしいつもの円堂とは
どこか雰囲気に違和感があった。
夕陽が沈みほとんどが
闇に包まれた時、途端に
風がざわつき草木が揺らめく。
それと同時にカラスが
鳴き、木から飛び去っていった。
すると茂みの中から赤い髪を
靡かせて円堂の方へと
走り寄っていく少年の姿が
見えた。

「…守!」

茂みの中からのそのそと
現れた赤髪の少年の名は
基山ヒロト。
ヒロトは円堂を見付けるなり
満面の笑みで直ぐ様駆け寄った。
どうやら彼等は此処で
待ち合わせをしていたらしい。
名前を呼ばれ顔を上げた
円堂を見ればいつもの元気で
明るい表情とは裏腹に
今の円堂の瞳に光は無く、
まるで魂を全て吸いとられた
かのように脱け殻と化していた。

「守…?」

普段とは似ても似つかない
変わり果てた円堂の姿に
気付いたヒロトは彼の顔を
心配気に覗き込んだ。

「どうしたの…守…?」
「…………。」


いくら問い掛けても返事のない
円堂にヒロトはいつにない
不安を胸中に募らせた。



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