針葉樹
□*悪戯は御菓子を呼ぶ
2ページ/3ページ
ガラガラ、と少々うるさい音を立たせながら玄関の網戸を開ける。
『いってきますヨー』
そう居間に向かって一声掛ければ、後ろに居る定春に『行くよ、定春』と言い外へ出た。
張り切って出てきたはいいものの、正直どうしたらいいのかよくわからなかった。
とりあえず、駄菓子屋にでも行けば菓子の1つや2つ貰えるかと考えていると。
自分の行く少し先に、見覚えのある姿が見えた。
『ゴリラー、何してるネ?』
其方へと近付きながらそう声を掛けてみると、その人物――真選組局長である近藤勲が振り返った。
――…コイツ、今無意識に自分がゴリラって事認めたアルな。
思考の隅でそんな事を思っていると、近藤が言葉を返してきた。
「お、万事屋んトコの。今はお妙さんの警護をしていた所だ」
その時。
少しだけ表情を緩めた相手の頭に、何処からかジャガイモが飛んできた。
ゴツン、と鈍い音がし、近藤はパタリと倒れた。
そして、向こうには手をパンパンと叩いている妙の姿。
『流石姉御アル!ジャガイモ一つでゴリラを倒したアル!!』
妙は此方に気付き「あら、神楽ちゃんじゃない」と近付いてくる。
すると、近藤が「いやー、良い肩してますねお妙さん!」と跳ね起きた。
「じゃあね、神楽ちゃん」
それを見るなり、妙は来た道を引き返す。
その後ろ姿を追いかけてはぶん殴られている近藤を見つつ妙に向って手を振り、自分と定春は駄菓子屋へと向かった。