If...Paro...

□もしもシリーズ第二弾!
1ページ/6ページ



羽をもがれた鳥は空へと羽ばたけない。

新たに羽を得ない限りは、決して飛ぶ事が叶わない。





「早く乗って下さい!」


大公の困惑した表情が浮かんでいる。エリンは気を奮い立たせた。無数の闘蛇の目がある中を、リランは羽を広げて飛び立つ。


(これで良いの)


リランが離れてゆく様子を眺めながら、エリンは昔を懐かしんだ。


闘蛇の世話をし、自分を守るために死んだ母。

自分を助け、学問という知識を教えてくれたジョウンおじさん。

カザルム保護場で、幾度もなく自分に道を示してくれたエサル先生。

ユーヤンやトムラ先輩。仲良くしてくれた級友。慕ってくれた学童や自分を見守ってくれていた先生達。

王獣規範を理解し、王獣を守って下さった真王陛下。

自分を頼り、約束をして下さった真王様に、未来を切り開いてくれる大公様。


皆の顔、思い出が走馬灯のように流れてゆく。



スローモーションのようにリランは上へと羽ばたいてゆく。リランによって見えなかった太陽の光が段々と見えてくる。


カザルム王獣保護場で過ごす、王獣達。陽なたぼっこをし、仲睦(むつ)まじく過ごすリラン親子。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ