Novel

□白い花に捧ぐ紅き剣
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真王となったセィミヤは自室から外を眺めた。

先代真王のハルミヤが、『穢れた血』に襲われた事件から数日経ってから亡くなった。

セィミヤは悲しみに暮れていた。外は雨雲が立ち込め、辺りに細かな水を降り注いでいる。


(私は一体どうすれば良いの、お祖母様…)


視界に植えられている一面の白い花が見えた。雨に濡れている花の姿が自分と重なる。

セィミヤは悲嘆した気持ちが表情に現れていた。沈痛な面持ちは雨を眺め、やがて目を伏せた。






次期大公となるシュナンもまた、雨雲を見ていた。雨に打たれながら空を見上げ、遠く向こう側にあるリョザ神王国を思った。


(私はこの国を変える。歪んでしまっているこの国を変えなければ…)


シュナンは変えるには必要な事をしなければならないと考えていた。


真王と自分が婚姻するという事を。


それは国の歴史で異例となり、初の試みとなる。


(だがそうしなければ、いつかリョザは滅んでしまい、いずれ自分達は更に歪んで…――)


雨を見ていたシュナンの脳裏にセィミヤの泣いている姿が掠めた。



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