Novel
□輝く存在
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セィミヤとシュナンの結婚の噂が国全土に広まった。その頃、エリンはカザルム王獣保護場で静養中だった。
(あれから…沢山の事があった…)
エリンはあの時の争いを思い出していた。セィミヤの頼みでシュナンを助け、自分が死ぬ間際にリランが助けてくれた、あの時を。
だが、もう二度とあの争いが起こる事はない。
(…おめでとうございます、セィミヤ様、シュナン様)
エリンは空を見上げ、心の中で呟いた。
自分は二人の結婚式に呼ばれた。だが断った。
あれ以来、二人にどのような顔を向けて良いのか判断が付かなかったからだ。
その代わりに、祝福の言葉と短い文章を添えて書簡を送った。彼らは自分が来ない事をどう思うだろうか。
「あ、リランを出さなきゃ」
物思いに耽っていたエリンはすっかり自分の仕事を忘れていたので、急いで王獣舎に向かった。
空を見上げて自分の事に気を揉むより、王獣の世話をして気を紛らわる方がとても楽だった。
「さぁ、出ておいで」
開け放たれた扉からリラン達は外へと出る。
早速、日の当たる場所に移動をして、三匹は寝そべった。