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□俺は明日を貴方と生きる
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「死ねぇっ!」
怒涛と共に振り下ろされた剣を自らが持つ剣で撥ね退け、敵の懐に向けて隠し持っていた木の棒で鎧の間から見える部分を勢いよく叩いた。
ドサッと崩れ落ちる音がし、気絶した敵を見下す。鎧兜から見える目元には一滴の涙があった。
「あなた…」
物陰から呼び掛けられ、憂いを帯びた表情を浮かべる妻の姿があった。
イアルは安心するようにと無言で伝えて頷き、念のために辺りを確認した。
「もう大丈夫だ。すまない。巻き込んでしまって…」
イアルはエリンを連れて家路を急いだ。夜道だった為に人がいない。だが、しばらく歩いていると暮らしている村に辿り着いた。
人通りはないが家は灯(あか)りを点(とも)し、何もない夜道よりは安全だった。
自分は堅き盾を辞め、指物師としての職業に身を置く事になった。
寂しいかと言われれば寂しくないと言える。妻は獣ノ医術師として家に居る事は少ないが、十分幸せだ。それに、堅き盾の仲間も顔を出してくれる時があった。
堅き盾は辞めた。だが、復讐心を持つ者が襲い掛かってくる事が時たまに起こっていた。