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□エリンはイアルを訪ねる
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「………」


エリンはキョロキョロと辺りを見渡し、誰もいない事を確認してから駆ける。

真王が居る宮に訪ねているのだが、真王への挨拶の前にこっそりと辺りをうろついていたのだった。


(えっと…確か…)


エリンはうろ覚えで外の周りを歩く。

「――…」

「――…」

すると話し声が聞こえ、エリンは建物の物陰で立ち止まった。


「今日、新しい侍女が三人増えてなかったか?」

「あぁ。辞める侍女が居るからな」


話し声の正体はエリンか探していたイアルと、堅き盾のカイルだった。エリンは出て行こうとしたが、躊躇った。二人の話す内容が女の人についての事だったからだ。

イアルとは付き合っているが、あまり会えない。会えても僅かであり、忙しい身の上だ。

イアルの事が好きでも、この距離の差は長い。もしかすると、私よりは侍女達の方が良いかもしれない。思考が悪い方向へとズルズル引っ張られてしまう。


(…イアルさんは私の事…好き…なのかな)


エリンは不安だった。それをよそに、二人は会話を続ける。
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