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□エリンはイアルを訪ねる
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「お、珍しいぞ。緑の鳥だ。で、お前は新入りの侍女で可愛いと思った子はいたのか?」
「…わざと言ってるのか?思うわけがないだろう。お前はあの時、そんな事を考えていたからいつもより真面目な顔をしていたのか?」
「おいおい、俺はいつも真面目じゃねぇか」
ふざけた調子のカイルに、イアルは溜息をついた。
「…そろそろ、見回りに行ってくる」
「おぅ」
イアルはカイルから離れた。そして、エリンが隠れている建物の中へと消えた。
(……良かった)
エリンはイアルが居た場所を見つつ、ホッと息を吐き出した。もし、可愛い子が居たと言われてしまえば、私は耐えきれなかっただろうと思う。
「エリン」
「きゃっ!」
エリンは後ろから名前を呼ばれて飛び上がった。急いで振り返り、自分を呼んだ相手に戸惑いの表情を浮かべた。
「イアルさん、どうして……」
「エリンの気配に気付いたからな」
エリンを呼んだのはイアルだった。エリンはカイルの方に視線を移すと、カイルは自分の方を見て軽く手を振っていた。
「カイルが言った緑の鳥はエリンの事、見回りの話はカモフラージュだったんだ」