If...Paro...
□もしもシリーズ第二弾!
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羽をもがれた鳥は空へと羽ばたけない。
新たに羽を得ない限りは、決して飛ぶ事が叶わない。
◇
「早く乗って下さい!」
大公の困惑した表情が浮かんでいる。エリンは気を奮い立たせた。無数の闘蛇の目がある中を、リランは羽を広げて飛び立つ。
(これで良いの)
リランが離れてゆく様子を眺めながら、エリンは昔を懐かしんだ。
闘蛇の世話をし、自分を守るために死んだ母。
自分を助け、学問という知識を教えてくれたジョウンおじさん。
カザルム保護場で、幾度もなく自分に道を示してくれたエサル先生。
ユーヤンやトムラ先輩。仲良くしてくれた級友。慕ってくれた学童や自分を見守ってくれていた先生達。
王獣規範を理解し、王獣を守って下さった真王陛下。
自分を頼り、約束をして下さった真王様に、未来を切り開いてくれる大公様。
皆の顔、思い出が走馬灯のように流れてゆく。
スローモーションのようにリランは上へと羽ばたいてゆく。リランによって見えなかった太陽の光が段々と見えてくる。
カザルム王獣保護場で過ごす、王獣達。陽なたぼっこをし、仲睦(むつ)まじく過ごすリラン親子。