御礼企画

□お駄賃
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先生を睨み付け吐き捨てたおれの耳許で、息が掛かりそうな距離にある先生の唇が、それじゃあ寝込みを襲う奴はどうなんだと意地悪な言葉を紡いだ。


「…‐‐‐っ!お、襲ってないっ!ちょっと触ってみただけっすよ?!」


「‐‐‐触るだけ?」


「…触るだけっす。だから…今から夕げの準備を…」


今さら視線を逸らすのも悔しくて、先生の瞳を見据えたままにおれはつんけんどんに返した。


間近にあるその瞳には、おれの姿が逆さまに映り込んでいて‐‐‐


吸い込まれそうな気がする。






「‐‐‐洗濯物と、子守りのアルバイト。」


「あ、済ませてくれたんすね。有難う御座いました。」


急に会話が逸れたことにおれはほっとしながらも、ドケチの習性でついついお駄賃は?と現金なことを言ってしまったのがいけなかった。


先生は糸に吊るした小銭を懐から取り出すとおれに手渡しながら、たまにはわたしもお駄賃がほしいなとニヤリと口角を持ち上げた。



先生のその口調と、おれを捕らえて離さないその腕に、先生のお駄賃の意味が決して小銭じゃないと思い知らされる。



「〜〜〜っっ。」


先生の気障ったらしい台詞に反応して、首から上にだけ血液が無駄に集まってきたようで、くらくらしてきた。


おれは身じろぎして、すぐ真下にある先生の目線から、視線を逸らす。


「…狸寝入りして、人をからかうような先生にはお駄賃はありませんっ!」


「…ケチだなぁ。」


子供みたいに唇を尖らせた先生が可笑しくて、ぷっと吹き出してしまった。


「ケチは誉め言葉っすよ。有難う御座います!」


「…いや、誉めてないから。」


冗談でかわそうとしたおれに、苦笑いして先生はなあ、きり丸と続ける。


いつもより艶っぽい先生の口調に流されそうで、ドキドキが増していく。


「‐‐‐お駄賃はお前からの口付けでいいんだけどな…」


先生が指先で撫でる唇やその掌に包まれた頬がじりじりと熱を帯びていた。


「…じゃあ、‐‐‐えっと、明日も一日アルバイト付き合って下さいね?」


おれは明日の約束を取り付けて、今から自分がする行動の言い分けを作り恥ずかしさを誤魔化す。


「…勿論付き合うよ。」


当たり前だと言わんばかりに言いきられてしまえば、おれはしょうがないという顔を取り繕う。


先生の少しだけかさついた唇へと自分のそれを寄せ、ゆっくりと目を閉じた。






‐‐‐本当は、おれの方が先生に口付けしたいと思っていた事は丁度いいから内緒にしておこう。







END






しほ様からのリク

甘い土井きりでした。遅くなってすみません。
自分なりに目一杯甘くしてみました…が、力不足でした(T_T)

甘いっていうか、なんかきりちゃんが先生大好きって主張してるだけな内容な気がして申し訳ないです(>_<)

少しでもお気に召して戴ければ幸いでですv
リクエスト本当に有難う御座いましたv






20100527






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