御礼企画
□多分目立っていた筈です
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頬を撫でていく風は心地いいのに、おれの内に渦巻くそれは不快そのもので…
モヤモヤとした醜い感情で溢れていた。
「…そんなこと、気にしてたのか?」
「誰かさんは、タイムサービスのことなんてすっかり忘れてたんだろうしっ!おれは忙しいんですよっ。」
「…ハハッ、すまんすまん。そうか‐‐そうかぁ。」
こっちの機嫌とは正反対のやけに嬉しそうな声が風に乗って届く。
その声に、ムッとしておれは弾む背中を睨み付けた。
「わかってるんすか?」
…おれは怒ってるんすよとそう言ったのに、先生はクスリと笑う。
「判ってるよ。‐‐‐きり丸が焼きもちなんて…嬉しいよ。」
「ハアッ?!…ちょ、先生っ!人の話聞いてました?!」
おれの怒声に、先生の背中が笑い声に合わせて揺れていた。
「…お前、顔真っ赤だぞ。」
楽しそうなその声色。
「見てないくせに、何言ってるんすかっ。」
おれは右手でやけに血行のいい顔を擦り、眉を吊り上げる。
なんか、振り回されてる気がしてムカつく。
おれが見てないと思って、絶対にやにやしてんだろうなと思うとなんか悔しくて。
おれは、こっそり上半身を横に倒して先生の横顔を覗き込んだ。
が、
‐‐‐あ、ヤバいっ!
おれの傾きに合わせて、ぐらりとチャリのバランスが崩れてしまい、車輪はぐにゃりと蛇行を描く。
「おわっ、馬鹿っ!何やってんだっ?!」
慌てた背中に、おれも慌ててしがみついた。
「…あはははっ、ビビりましたっ!」
先生の腰辺りのスーツを掴んだまま、笑って誤魔化そうとしたおれに、先生はバランスを取り直すと大きく息を吐いた。
弾みで背中にくっついてしまったせいで、先生の呼吸音が直に伝わってくるようだった。
「…おまえなぁ、重心から離れた所で変に動いたらバランスが崩れやすくなるのは分かりきってるだろうがっ!」
「…ですよね〜。すみません。」
笑いながら謝ると、全く何してたんだと尋ねられる。
「…えっ、あ、いやぁ、先生がどんな顔してんのか見ようと思って…」
「…っ、どんな顔って!‐‐‐なんだそれはっ。」
慌てた口調の先生。
すぐ近くにあるその耳さえも何故か赤くって、
「いつも見てる顔だろうが…何も変わらんよ。」
「‐‐‐でも、にやついてたでしょ?」
「にやついて…ない。」
一瞬詰まったその間が、そうだと言ってるようなもんじゃないかとおれは可笑しくなった。
「にやついてないで、急いで下さいよっ!時間ぎりぎりなんすから。」
先生の嘘と丸分かりな否定は軽くスルーして、先生の肩をポンポンと叩く。
クスクスと笑うおれの手首を、先生は無造作にギュッと掴んだ。
「よしっ、そんなに言うなら思いっきり飛ばすからしっかり掴んでろよっ!」
先生の熱が伝わる背中から、いつもより少し早く脈打つ心音が響いていた。
やっと収まってきていた筈のおれの心臓も、先生のそれに倣うように速度を上げていく。
掴まれた腕は先生のお腹まで誘導されて、先生とおれとの隙間をあっさりと奪っていった。
密着度がすっかり上がってしまったその体勢は、おれが後ろから抱き付いているようにしか見えない筈で‐‐‐
「せ、先生っ!…この体勢、めっちゃ恥ずかしいんすけど!」
内心悲鳴を上げていたおれは何とか逃れようともがこうとしたが、
「スピード上げてるのに動いたらバランス崩れるから、じっとしてろ。タイムサービス間に合わなくていいのか?」
「あーっ、もうっ!じっとしてるから絶対に間に合わせて下さいよっ!!」
おれは自棄になって先生に回した腕に力を入れる。
先生の凄く嬉しそうな承諾の声が身体越しに響いて、おれはにやけそうになる顔を必死に自制していた。
END
青いです。かなり青いバカップルな仕上がりになってしまいました(苦笑)
匿名様のリクより
幸せなバカップルなふたりを書かせていただきましたv
現パロでも良かったでしょうか?幸せ…?お題クリアしてますか?
管理人的にはスーツ土井と学ランきり丸のいちゃつきチャリ2ケツが書けて非常に楽しかったです(>_<)
タイトルすらちょっと痛いですよね(^_^;)
こんな内容で申し訳ないですが、素敵なリクを本当に有難うございました!
匿名様に捧げます。
20100414
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