幻想秘話
□月明かりの中
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弟達が寝静まった頃…僕の携帯が静かに光を放ち、僕を、貴方のもとへと誘い出す。
弟達を起こさないように、リビングに向かうと…貴方は、月明かりの中…ソファーに腰掛けて、何も映していないテレビを眺めていた。
ジェジュン:「眠れないの?」
ユノ:「…」
ジェジュン:「何か悩み事?」
ユノ:「…」
僕の言葉だけが…静まり返った部屋に放たれ…消えていく。
貴方が、何を考えているのか分からなくて…僕は…自分の部屋に戻ろうとした……
ユノ:「傍にいて。」
消えてしまいそうな…小さな言葉が、僕の耳に届いた。
僕は…何も言わずに、貴方の隣に腰を下ろした。
どのくらい時間がたったか分からない。ただ…貴方の傍に座っていた……
静寂の中…不意に貴方の冷たい手が、僕の頬を捕らえた。
ユノ:「ジェジュン…」
ジェジュン:「ぅん?」
貴方の冷たい手に、自分の手を重ねた。
ユノ:「夢を見たんだ…ジェジュンが……」
うつ向いて…ユノが言葉を濁す…
ジェジュン:「僕が?」
僕は…自分の頬に添えられた手に、そっと唇を落とした。
ユノ:「ジェジュンが…暗い闇の中で泣いているんだ…抱きしめてやりたいのに…近付けなくて…涙を拭ってあげたいのに…触れることが出来なくて…どんどん小さく遠くなっていくジェジュンを追い掛けたいのに足が動かないんだ…」
ジェジュン:「ユノ…」
ユノは、小さく震えながら話してくれた。
どうすれば貴方の不安を取り除くことが出来る?
僕はユノを力一杯抱きしめた。
ジェジュン:「愛してる。」
この言葉しか出てこなかった…
ユノ:「ジェジュン…俺はお前を愛してる!!でも怖いんだお前を愛しすぎて壊してしまいそうで…俺は…お前をどこにも行かせたくない、誰にも会わせたくない!!ただ俺だけの傍に隣にいてほしい…こんな事を考えてしまう…自分が自分で怖いんだ…」
ジェジュン:「いいよ。」
ユノ:「えっ!!」
僕の言葉で、今までうつ向いていた貴方の顔が…やっと見れた。