戦国LOVERS甲斐夢物語
□武田信玄夢物語番外編「朝姫夢幻」
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武田信玄夢物語
「朝姫夢幻」
ーこの姫は、恐らく二十歳までは生きられませぬ。
わたくしが産まれた時に、医師がそのように告げたと言う。
この乱世を生きる上で、不憫に思った父上から名を一字取って朝姫と名付けられた。
真綿でくるむように弱い体で生き永らえ、わたくしが甲斐の国に嫁いだのは、十五の歳。
父上は強国の後ろ楯を欲し、甲斐の国主武田信虎様は名家の血筋を欲していたための縁組み。
わたくしの家は名家ながら周辺諸国に攻められ、甲斐の後ろ楯を得たいという思惑があったのです。
最初は国主武田信虎様の側室にという話でしたが、父上が年齢と側室ではわたくしが不憫だということで渋り、わたくしより年下の元服前の嫡子、勝千代様に嫁ぐことになりました。
この武田勝千代様こそ、後に甲斐の虎と呼ばれることになる武田晴信ー信玄様です。
わたくしが嫁いだ時、元服前の勝千代様は十二歳の、幼い少年でございました。
【続】