図書室―BL小説―

□この感情の正体は!?
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やっとの思いでたどり着いたコンラッドの部屋。

ここに来る途中、グウェンダルに会うし久しぶりにヨザックに会うし…
とにかく大変だった。

忍び足で怪しい歩き方をしていたせいで、二人にはものすごく変な目で見られたのだ。

これでも一応魔王なのに。

「コンラッド、居てくれよ!!」

願いを込めてノックをした。
勢い余って3回してしまう。

「はい?」
「コンラッド!!俺だよ!!渋谷有利だよ!!」
「ユーリ?どうぞ」

コンラッドがドアを開けてくれたので俺は素早く部屋に入った。
当然、コンラッドは不思議そうに俺を見ている。

「ごめんな?突然」
「いえ、ユーリならいつでも大歓迎ですよ」
「そりゃありがたい」
「とりあえず、座って」
「おう」

俺は言われた通りに椅子に座り、コンラッドが用意してくれた紅茶を一口飲んだ。

「何か、俺に聞きたいことがあるんでしょう?」
「あーあ、コンラッドは何でもお見通しだな」
「ユーリことならね」

いつもの爽やかスマイルを決め込まれた俺は、コンラッドに悩みを全部話した。

それが結構恥ずかしいもんで。

「お話しはわかりました」
「な?俺おかしいだろ?ヴォルフにドキドキするなんて…ん?ドキドキって…んな訳あるかー!!」
「ユーリ、落ち着いて」
「あ、ごめん…」

少し温くなった紅茶を一口飲めばコンラッドは言いにくいそうに話しを進めた。

「ユーリは…ヴォルフに名前を呼ばれると、ドキドキするんですよね?」
「うん」
「手を握られても?」
「うん」
「なるほどねぇ」

あれ、コンラッド…
何だその意味ありげな笑みは。

「ユーリ、怒らないで…いや、落ち着いて聞いて下さい」
「お、おう」
「俺が今から言うことは、あくまでユーリの話しを聞いた俺の意見なんですが…」
「う、うん」
「それって…恋、なんじゃないですか?」
「…はああぁぁぁ!!!???」

予想外のコンラッドの答えに、俺は大声をあげるしかなかった。

「あくまで俺の意見ですよ?」
「俺が…ヴォルフに…恋、してるだって!?」

あぁ、恥ずかしい。

「俺は、それしか考えられないけどな」
「なぁ、コンラッド…」
「何ですか?」
「俺って、変か?」
「いえ、変じゃありませんよ」
「そうか?」
「だって、あなた達は婚約者ですよ」
「あ、そか…」

俺がはっきり言えなかったもどかしい感情は、コンラッドの言う通り恋、なのかもしれない。

「ユーリ、素直になってみるのも悪くないと思うよ」
「素直に、ね…コンラッド、ありがと」
「いえ、そんな」
「俺、素直になるよ」
「応援してますよ」
「おう!!」

やっぱりコンラッドの所に来て大正解だった。

俺は紅茶を飲み干し、コンラッドの部屋を後にした。

コンラッドのあの笑みに送られながら俺はある場所に向かった。
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