金色の部屋

□はじまり
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春、あたたかい季節。
白い少年は眠たげに目をこすり、ぼんやりと歩いていた。
まだ、日の出たばかりの、人気の少ない道をゆっくり歩く。

彼の通う学校の校門前。星奏学院のファータ像が視界に入る。

そこに、全てのはじまりがあった。


不思議な輝きを放つ、野球ボールほどの光の玉が、上の方から降りてきたのだ。


上、つまり天の方。

落ちてくるにしてはゆっくりと、しかし、確実に地上に近づくそれは、迷いもなく、目の前の像に向かってきた。


「…なにあれ」
「あ…先輩…、…わからないです」

ランニング途中であったのであろう、彼の先輩も偶然か、必然か。
眩い光に吹い寄せられるように、ここにきた。


光の玉は、ファータ像の近くまで降りると、いきなりくるりと舞い、二つにはじけた。


ひとつは赤い光を放ち、ファータ像の後ろに消え、ひとつは緑の光を放ち、森の広場の方に飛んでいった。


「なんだったんだろう…」「…夢、です。きっと、」

一呼吸置いて、また白い少年は歩き出す。
先輩は、ただ呆然と立ち尽くしていた。
ファータ像を過ぎた所で、少年はしゃがみこみ、かなり驚いた様子で言った。

「先輩…夢じゃないみたいです。」
「…え?なに?」
「えっと、人でした。」
「…はぁ?」
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