夫婦

□君のご飯は世界一!
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――雲一つない、真っ青な空が広がるある日。

ラシュアンの村で暮らすナナシさんは、出来たばかりのオムレツを皿へと移した。


パンやスープの良い香りが家中に広がっている。



「さて、と…」



朝食の準備を終えたナナシさんはエプロンを付けたまま、梯子を上る。


まだ起きてこない夫――リッドを起こす為だ。



「リッドー?朝よー」

「んー…腹減った」



朝食の香りがここまで届いたのだろうか。

彼にしては珍しく、素直に起き上がり、腹の虫を鳴かせた。



「おはよう、リッド」

「おはよ…」



リッドは寝ぼけながらも手招きでナナシさんを自分の方へ呼び寄せる。



「なぁに?――っ//」

「ん。目ぇ覚ーめたっと♪」

「んもぅ…」



チュ、と軽いリップ音と共に、一瞬リッドの顔が目の前に来た。

上機嫌で梯子を降りていくリッドに続き、ナナシさんも降りて行く。



「今日の朝飯何だ?」

「オムレツよ」

「よっしゃあっ!」



梯子の最後の数段を身軽に飛び降りたリッドは、足早に朝食が並ぶテーブルへと駆けて行った。

朝食でここまで喜ぶその姿は、昔から変わらない。
それもまた、彼に惹かれた理由の一つなのだけれど。



「何飲む?」

「んー…ミルク!」



いただきます、と手を合わせながら答えたリッドに、ナナシさんは優しく微笑んで、グラスを手に取った。



君のご飯は世界一!

(ナナシさん、今日も美味いぜ!)
(ありがと)
(毎日サンキュな♪)
(…///もー、今日不意打ちでキスしすぎ…//)
 

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