brothers conflict

□ゆーくん?とおむかえ
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(まったく…侑介らしいというか…)


“なつ兄!今日名無しさんの迎え行ってやってくれねーか!?居残りさせられるらしくって…”

そう、携帯に連絡がきたのはちょうど仕事が終わった頃だった。
詳細は聞かずとも検討がついた。どうせテストの点が悪かったか課題を提出していないか、だな。

“分かった。俺が行く”

それだけ返し、早速帰宅の準備を始めた。たまたま、午後が休みだったからいいものを。

でも、まあ…名無しさんに会える。そう考えるだけで、僅かに口元が緩んだ。


一度アパートへ帰り私服に着替えた。時間も程よい頃、保育園に行けば同じように子供を迎えにきた親ばかりだった。…まぁ、当たり前だが。
先生に朝日奈です、と告げれば名無しさんを呼んでくれた。


「ゆー……あれ?なっくん!!」

「おー名無しさん。迎えに来たぞ」

「なっくーん!!」


侑介の名前を呼ぼうとした名無しさんが俺の姿を確認するなり、走る速度を速めた。その勢いのまま名無しさんが抱きつく。
脇に手を入れ抱き上げてやれば、俺の首に手を回してきた。


「よし、帰るか」


俺が迎えに来る事が珍しいからか名無しさんはやたら上機嫌だった。


「えへへー」

「ご機嫌だな、名無しさん。良い事あったのか?」

「なっくんといっしょがうれしいの!」


…どこで覚えたんだその殺し文句。可愛い。
「俺も嬉しいよ」と答えれば、名無しさんは満面の笑顔を向けてきた。


「そーいえば、ゆーくんは?」

「アイツなら、居残りさせられてるんだってよ」

「いのこり!ゆーくんらしーね!」


侑介の居残りはいつもの事だ。まだ4歳の名無しさんだが、すっかり“居残り”の意味を覚えてしまったらしい。哀れだな、侑介。


「なっくん…、ななしさんとおうちついたら、かえっちゃうの?」


急に声のトーンが下がり、俺は名無しさんの顔を見た。少ししょんぼりとしたような、寂しげな顔をしている。


「…いや、せっかく名無しさんと居れるんだ。お前が眠るまで居るよ」

「ほんと!?やったー!!」


子供というのはころころと表情が変わる。一気に目を輝かせた名無しさんが面白くって、思わずふきだした。
それにしても、さっきから嬉しい事ばかり言ってくれるな。

俺に迎えを頼んできた侑介に感謝して、人気がないのをいいことに、名無しさんの頬にキスをした。


――たまたま同時刻に帰ってきた侑介見られるとは思わなかったが。


◇なっくんとおむかえ◇

(なつ兄!何してんだ!)
(あ!ゆーくん!いのこりは!?)

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