brothers conflict

□りんくんときゅうしょく
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お昼をまわった園内は各教室から賑やかな声が響いていた。
午前中から目一杯遊んだ園児たちのお腹はペコペコだ。


「きょうのきゅうしょくなんだろうな!」


赤紫に近い髪色をした凛もその1人で、先生たちにより配られるそれを今か今かと待ち構えている。
給食のメニューは月末に翌月のメニュー表が配られるのだが、凛は先に知るのは嫌らしく毎日この調子だ。

ちなみに今日のメニューはクロワッサン、野菜スープ、チキンナゲット、フルーツ、それからお決まりの牛乳。


「チキンナゲットだー!おれだいすき!」

「そうなんだー。じゃありんくん、ななしさんのナゲット1こあげるー」

「まじで!?いいのかななしさん!?」

「うん、ななしさん、1こでいい」


1人に2個ずつ配られたチキンナゲットのうち1つを自分の皿から凛の皿へと移動させた。

いただきます。号令と共に全員が思い思いの物に手をつけ始める。遥はまずパック式の牛乳にストローをさしていたし、もう1人――茶髪に垂れ目が特徴の真琴はクロワッサンにかぶり付いていた。凛はもちろん1つめのチキンナゲットを頬張っている。
名無しさんはスプーンを手にすると野菜スープに手をつけた。


「なあなあ!おひるねのあと、そとであそぼうぜ!」

「いいね、さんせい。はるは?」

「あぁ、いいぞ」

「ななしさんもいっしょにあそぶだろ?」

「いいの?」

「あたりまえだろ!」


食事の合間に交わされる会話は午後の遊びの時間の事だった。
少し前に出会ったばかりなのに。当たり前、と一緒にいることを許してくれる。名無しさんはそれが嬉しかった。


「えへへー」


笑みがこぼれ、一口大にカットされたメロンを口に運ぶ。
その笑顔に3人は頬を赤くさせ、紛らわせるかのようにフルーツを食べていた。


◇りんくんときゅうしょく◇

(ななしさん、きょうのおやつ、おれの1こやるからな)
(え?でもりんくん、おやつもたのしみにしてるのに)
(いいんだよ。…さっきのナゲットのおれいだ)
(やったぁー!ありがとーりんくん!)

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