WORKING!!

□4品め!
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「先輩、名字無しさんさん…俺、最近気になる人がいて…。

彼女のことを考えると夜も眠れず…」

「恋!?恋なのかたなし君!」



小鳥遊の突然の告白に飛び付くぽぷらとそこまで興味のなさそうな名無しさん。



(…近所の子供とか?)



思わず犯罪じみた考えを思い付くが、小鳥遊の事だからありえなくはない。

そもそも、それが当たり前になってしまっている時点でおかしいと考えるべきなのだが、普段から変なメンバーと一緒にいる名無しさんは感覚が鈍っていた。



「(とりあえず聞いてみよ…)
…気になる人って?」



名無しさんの問いに、小鳥遊が示したのは、フロアチーフの轟八千代。

名字とは裏腹におっとりとしていて、優しい雰囲気の女性だ。
信用があり、よく気が利くのだが常に帯刀している。



「あー…チーフの八千代さん?」

「普段人間は幼児くらいしか気にならないのに、変ですねぇ」

(…小鳥遊君って人並みの恋出来るんだ)



真顔で八千代を見つめる小鳥遊に対し、名無しさんが失礼な事を思っていると、八千代がこちらへ近づいてきた。



「小鳥遊君、バイトの調子はどうかしら?」

「え、あの…」

「…?」



八千代と小鳥遊が話し始める中、名無しさんはふとある疑問を抱く。

それをぽぷらへ聞こうと思い振り返ると、カウンターの向こうから佐藤が手招きしているのが見えた。














「潤さん?どーしたの?」

「…んー、いや。用事って訳じゃないけど。『…小鳥遊たちと楽しそうにしてたから。何話してんのかなって』

…相馬。勝手に台詞付け足してんじゃねーよ」



ガスッ



「いたっ。え〜佐藤君の心を代弁してあげたんだよー」



佐藤の背後にしゃがんで声マネで遊んでいた相馬は、降ってきた手刀に涙目になりながらも表情は笑顔のままだった。

これといって、佐藤は相馬が付け足した台詞に対し否定する事はなく、小鳥遊たちに軽い嫉妬心を覚えていたのは確かなようだ。



「…♪」

「…おっと。…名無しさん?」



佐藤と相馬のやり取りを眺めていた名無しさんも、そんな彼の嫉妬心に気付いたらしく上機嫌で佐藤に抱き着く。



「潤さんっ、だーい好きっ」

「……………俺も」



こういった事には決して鋭くない名無しさんにまで嫉妬に気付かれた羞恥心からか、無意識な名無しさんの上目使いのせいか。
佐藤は顔を僅かに赤くさせながら、そっぽを向いて呟いた。



  
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