for天爛

□そうだよ。
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☆そうだよ。for天爛様

♪そうだよ。 君の言葉は いつだってたからもの

ヘッドホンから流れてくる音楽に耳を傾けながら、
右手で言葉を紡ぐ。

『会いたいよ』

叶わないのは、分かってる。
でも。

“送信しました”

♪何度も届いているよ ひかりとエナジー

愛してる、って伝えるのは、すごく難しくて。

“メール受信中”

『どうした?』
『勇汰が足りない。会いたいよ。……無理なことくらい、分かってるのにね(>_<)
やっぱ、1週間会えないって、辛いや』

♪いま会えないけれど ぼくは元気でいるよ

“送信しました”

好き。大好き。
大好き、大好き、大好き。

なんで言えないんだろう。

♪だから いま会えないけれど 君も元気でいるといいな

“メール受信中”

どくんっ。
ほら、また、胸が高鳴る。

『…今、電話してもいい?』

どくん、どくん、
どくんどくんどくん──。
鼓動が落ち着かない、
止まらないよ──。

『いいよ。待ってる』

“送信しました”

♪聞かせて きのう見た夢 隣の犬の話 教えて 僕の知らない 君の見てる世界

面と向かって、話してなくても、胸の鼓動が、こんなに止まらない。

どうしよう。

愛してる、って言えない。
だって、どくどくが止まらない──!!

どくんっ、

携帯のランプが、着信を示す水色に光る。

『もしもし?』
『勇汰!!』
『楢羽?』
『勇汰、だあぁ……!!』

泣きそうになるのを、必死に抑える。
機械越しなのに、世界が繋がってるって思えて。

♪いま会いたいけれど 会えない愛する人の声を いまあと少しだけ 目を閉じて聞いてたいんだ

勇汰の優しさと、世界の優しさが、私をふんわり、幸せで包んでくれている気がした。
私、1人じゃないんだ。

♪おはよう 君の街では いちにちが始まる おやすみ 僕の街には いちばん星が

『……勇汰も、同じ星空を見てるのかなぁ』
『あぁ。見てる。』

しゃっ、とカーテンを引けば、

『寒いんだから、ちゃんと何か羽織れよ?』

その音を聞きつけた勇汰からの声が耳を叩く。

♪幾億光年も遠くの宇宙から君にキスを 幾億光年を飛び越えて 届きますように

『カーディガン着たから大丈夫。……ノーザンクロス、分かる?』
『ノーザンクロス?……えっと……。』
『ふふ、勇汰、ノーザンクロスの繋ぎ方、知らないでしょ?』
『知らない訳じゃ、』

♪いま会えないけれど ぼくは元気でいるよ

『ノーザンクロスって何座?』
『ったく……なんか楢羽、ずるいぞ?』
『……そう?』
『だって、俺は……』
『はくちょう座。』
『は?』
『白鳥の、翼を広げた形だよ。』
『そうなんだ……。』

♪だから いま会えないけれど 君も元気でいるといいな

『綺麗だよね!!』
『そうだな。』
『……♪胸の鼓動に蹴飛ばされて 転がり出た愛の言葉 だけど 困ったナ 答えがない』
『……楢羽、それ、ノーザンクロスか?』
『そ。マクロスの曲だよ。』
『……そうか。』
『振るならそのくらい考えて振らなきゃ。これは歌詞が先に出来た曲なんだよ?』
『そうなのか……。知らなかった。俺も、まだまだだな。』
『私、楽しみに待ってるからね。勇汰の、ノーザンクロス。』
『あぁ。』
『じゃ、勇汰、またね。……愛してる』

小さくて、小さくて。
微かすぎるかもしれないけど。

この想い、貴方に捧げるね、
だって本当の気持ちだから。

そうしたら、返ってきたのは、思いがけず一番欲しい言葉1つ。

『あぁ。楢羽、愛してる』

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