ギフト

□シェリル・アタック
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「さっさと、気付きなさいよ……。」

一人、
シェリルは化粧台の前で呟いた。

恋敵が、ランカであることは、
とっくに、分かっていた。
それなのに、
いざ、アルトが、ランカの名前を呼び、泣くと、
――ただ、苦しくなる。

きっと、アルトは、
ランカが裏切ったから、
私を愛してくれるのだろう。
きっと、ランカがいたら、
未だに、自分とランカのどちらを選ぶかで、
悩んでいたのだろう。
――そう思ったら、
同じ土俵にさえ立てていない自分が、
情けなくて。

私は、
私は、
シェリル・ノームなの!

だから。

「ランカちゃんを、」

精一杯の、強がりと共に、

「助けなさい。」

伝えた。

アルトが出ていくと、
自然に、言葉がこぼれた。

「さっさと、気付きなさいよ……。」

自分自身の、
本当の、
思いに。

アルトへの思いだけを胸に、
シェリルは、

戦場に向かった。

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