ギフト

□君の声を聞かせて
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世界はオレンジ色で、
でもその頭上の空は、
澄み渡る青空だった。

☆君の声を聞かせて

今日もいつも通り、君とあのグリフィスパークの丘で待ち合わせ。

「ランカ──っ、」

あ。
黒地に椿の、着物。

「アルトくん!!」

本当に、約束通り、
正月には着物を着てくれたんだな。
俺にはこんなこと言う勇気はないけど、でも、
ランカが滅茶苦茶、綺麗に見えた。

「ランカ……ランカ?」

……はずだった。

「ランカ!?」

消えた。

「おいランカ、」

どこに、

「ランカ!!ランカ!!」

どうして、

「ランカあぁっ!!」

ランカは消えた?

「……アルトくん」

ランカの悲痛な声がした気がして、振り向いたら、

空から一つ、星が降ってきて、
俺が無意識に差し出した手に、降りた。

☆☆☆

ガン!!

頭が割れるような痛みと共に、体が墜ちていく。
落ちる、だけじゃない。
闇に、墜ちる。

「……アルト…くんっ」

アルトくん、無事かな。
私のせいで、巻き込まれて傷を負ってたりしないかな。

きっとこれはまた、反政府勢力の人達の仕業だ。
最近増えたからなぁ……。
ブレラさんにお願いして、ちょこちょこ抜け出す私が悪いんだけど。

だけど、あなたに会いたかったんだ。
会いたかったんだよ、アルトくん。

☆☆☆

「ん……、んん?」

ここは……?

♪恋☆カナ

「♪雨の朝も笑って見せて 星空を期待できなきゃ レボリューションなんか 起こせない」

1フレーズ、歌を響かせる。
少しだけでも、私を取り巻いている不安を追い払えるように。

「ランカ!?」
「え!?アルトくん!?」

格子窓から覗いていたのは、アルトくん。

「どうして……!?」
「それは俺が聞きたいさ」

そう言って、アルトくんは、あっさりと小さな窓の鉄格子を外してしまった。

「ほら、来いよ、ランカ」
「うん」

アルトくんの手に引かれて、外に出る。

「ありがとう」
「ったく、無茶するなよ。護衛くらいしてやるからさ、事情くらい言っといてくれよ」
「だって、アルトくん、シェリルさんの……」
「あれは雇われてるだけ。ランカだったらそのくらい個人的にやってやるから」

首を傾げた私に、アルトくんはそっぽを向きながら続けた。

「もう少し、頼れ」

その言葉が、繋がれたままの手が嬉しかったから、私はもう一度、アルトくんの手をぎゅっと握ることにした。

お題:声を聞きたい(君だけの声を)
涙、のち恋模様様より

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