ギフト
□空と君と。
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有利は、空を見上げていた。
☆空と君と、
「なぁコンラッド、おれ達が出会ったのって、ここだったんだよな……。」
有利は、あの日のように、学ランで寝転がっていた。
「違いますよ、ユーリ。」
コンラッドは、さりげなく有利の手を握ると、有利を起き上がらせて、少し移動
して、
「うぅわっ!!」
有利がコンラッドのキスに、反射で声を上げてから、
「ここです。」
有利の耳元で囁いた。
「んっ!!……ちょっ、コンラッド、やめろよ!!公共の場でっ!!」
「大丈夫、誰も見てませんよ。」
「だからってキスするのは無しだろ!?」
言っていて恥ずかしくなったのか、有利は頬を赤らめた。
「頬ですよ?」
「変わんねーよっ!!」
「じゃあ、どこにしても良いですか?」
コンラッドの目が、怪しく光る。
「駄目だめ、ダメだからっ!!」
「どうしてですか?」
そう、コンラッドがわざと落胆を込めて問えば、
有利は頬を赤らめたままうつむき、答えを探すように、少しずつ話し出す。
「……外でなんか、嫌だ。」
有利が、そっと顔を上げると、
目の前にコンラッドの顔があった。
(いつも格好良いなんて、やっぱずるい……。)
「だって、外だと我慢しなきゃなんないし、途中で止めなきゃいけないし……。
」
コンラッドが破顔する。
「可愛いね、ユーリ。」
「可愛くないっ!!」
「じゃあ、帰りましょうか?」
仮の寝床でも、
コンラッドと一緒なら、大丈夫。
そう思えるようになった。
だから。
「まだ帰らないよ!!」
仰向けに倒れながら、コンラッドの腕を引く。
不意打ちだったのか、コンラッドも素直に倒れ込んでくれて、
無意識に、笑顔が零れる。
ほら、空と君とが一緒に見える。
堪えきれなくなったのか、君がおれにしてくれた二度目のキスは、
甘い甘い、愛の欠片。
今、おれの前に在るのは、ただ、
──空と君と、愛の欠片。