Specialクロスオーバー
□夕方イマジネーション
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一つ先の交差点で、おれは彼女と会った。
○夕方イマジネーション
その日はたまたま、天気が悪くて、
いつもの道より、アーケードを通ろうと思った矢先だった。
「ふうん?それだけで私のこと、見過ごして行っちゃうんだ?」
誰だ?
いきなり声をかけられて、戸惑うおれに、その女の子は続けた。
「ねぇ、ちょっとデートしてみない?」
何だこの人、と思ったけど、そこには、確かな威厳みたいなものがあって。
だからおれ、なんだか逆らえなくなって、ついて行こうって決めちゃったんだ。
……だって、女の子に話しかけられたんだぜ!?
このおれが!!
こんな良い機会、放っておく訳いかないじゃんか!!
──それが全ての始まりだったんだ。
彼女との、全ての。
☆☆☆
「ふう……ん。ユーリくん、って言うんだ……。」
「は、はいっ!!」
「ねぇユーリくん、まどろっこしいこと嫌い?」
「はい。」
それだけは、断言できる。
「じゃあ、直球でいくわよ。……人に頼られる仕事って、楽しいもの?」
「シェリルさん、全然、直球じゃ、ないじゃないですか!!」
でも。
そう思って、思い出す。
シェリルさんは、知らないはずだけど。
眞魔国の、みんなを。
「そうですね……、大変だと思いますけど、やりがいはあるはずです。」
「優等生の答えね。」
「それに、自分を頼って、支えてくれる人が、きっといるから。」
「ふぅん、経験者なんだ?」
「一応、ですけど……って、」
「ありがと、ユーリくん。」
「……。」
目の前に、天使のような微笑みがあって。
でも、違う。
あのシェリルさんの笑顔は、
本物じゃない。
どうしたらいいのかさえ、おれは、分からなくなって、
シェリルさんの腕を、掴んでいた。