今月のbirthday小説
□世界の色
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私のこと、想ってもらえるなんて、
初めて。
☆世界の色
「ハンナ!!」
「何?遅いんだけど。」
「ごめん……。」
周囲から見たら、きっと私はお姉さんで、ホミは弟。
でも、現実は逆で。
「ほら、これ、プレゼント。……ハンナがもし造られた子でも、ハンナが12年前
の今日に生まれたって事実は変わらないんだ。だから、誕生日おめでとう。」
「お兄ちゃん……。」
「…受け取って、貰える?」
「……うん」
プレゼントを、ぎゅっと抱えて、キャスト用のバスに乗る。
「ほら、早く乗らないと置いてくわよ!!……プレゼント開けたいんだから、早く
しなさいよね。」
「あ、うん!!」
幸せって、こういうものなのだろうか?
モノクロだった世界が、虹色に染まっていく。
──もしかしたら、世界が色を取り戻していっているだけなのかも知れないけど
。
嬉しいから、
たまには素直になってみる。
「お兄ちゃん、ありがとう。」
小さく、小さく。
「ん?」
「何でもない!!」
世界の色は、
今日も虹色。