crazy for YOU
□そんな設定、忘れてました。
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真琴「オイ矢吹っ!!!! 何も叩く事は──」
祐輔「部外者は黙っててよ」
真琴「──ハァ!? テメはるひ助けたからって調子乗ってんじゃねぇぞこのクソ●●●●●●●●(自主規制)!!!!! んでもって●●●●●●(自主規制)!!!!!! くたばりやがれ●●●●(自主規制)!!!!」
和希「は、早坂ァァア!? と、とりあえず落ち着けって……!!!!」
放送禁止かつ女子が言ってはならないワードを次々繰り出しながら祐輔に殴りかかろうとする真琴を和希は後ろからなんとか動きを制した。
そのため、祐輔が怪我をするのは避けられたのだが……、
真琴「アタシに触んな!!!! クソ地味チビ!!!! なんでお前前髪だけ赤いんだよ!? なんちゃってビジュアルかコノヤロォォォォオッッ!!!!」
和希「ちょ!? なんで俺に対する罵声には規制かからねぇんだよ!? っ痛ぇ!? 腕振り回すなって!!!! っつーか俺引きずられてる!? どんだけ馬鹿力だ早坂ァァア!?」
和希は精神身体共にズタボロであろう……。
千架「和希、そのまま早坂押さえておけよ。 ──祐輔、お前も少し落ち着けよ。 そもそも今のは桜華原だけじゃなくて俺にも非が──」
祐輔「そうだよ。 知ってる。 今のははるひちゃんだけが悪い訳じゃない8年前もそうだった……何? 今度ははるひちゃんなの? そんなに桜華原が憎いの?」
千架「……千架……お前……」
祐輔「馬鹿にしないでよ。 俺、本当は全部──」
はるひ「祐くん千架ちゃん喧嘩止めて!!!!」
祐輔「──っ!!!!」
はるひの大声に、祐輔は珍しく慌てた様子で右手で自らの口を塞いだ。
千架は、目を見開いて祐輔の目を見ている。 その手はキツく拳が握られていて微かに震えているようだ。
はるひ「今のは千架ちゃん悪くないよ。 助けてくれようとしたもん……っ!!!! なのにはるひが動けなかったから祐くん怪我させちゃって……ごめんなさいっ!!」
唯「だとしたらアタシ等にも非はあるよ。 はるひが地震駄目なのも重いもの持てないのも危なっかしいのも知ってて見てただけだし。 少なくとも望月は助けようとしたんだから矢吹が怒る相手は何もしなかったアタシ等じゃないの?」
真琴「そんな事はどうだって良い!!!!」
まるで学校全体に響くような大声で、全員の視線が真琴に向けられた。
真琴「矢吹お前今何言い掛けてた? 桜華原と望月に何かあんのかよ? しかも8年前って──「なんちゃって」──アァ?」
祐輔「今の、昨日やってたドラマのワンシーン」
はるひ「……え?」
祐輔「面白かったでしょ」
・・・・・・
一瞬、全員の表情が固まった。
和希「祐輔……おま、マジ……」
真琴「気まぐれも大概にしろよオイ」
唯「……まぁ矢吹だしね」
はるひ「祐くん演技上手だね! 俳優さんみたいだった!!」
祐輔「うん、ありがとう」
そうした会話の中で、この和の雰囲気がいつも通りになっていくのを感じた祐輔は微かに安堵の息を漏らした。
そして一人押し黙る千架に向き直ると、
祐輔「千架」
肩に手を置きいつもの調子で口を開いた。
祐輔「本気にしちゃったのあはははは」
千架「お前……」
祐輔「良く考えて? 8年前、7歳の千架に何が出来る?」
千架「──!! ……まぁ」
祐輔「千架ちゃん純粋ーwww」
千架「なんだと祐輔テメ……」
祐輔「きゃー千架ちゃん暴力」
唯「……キモ」
真琴「それよりもう帰ろうぜ。 授業終わってんだろ?」
和希「じゃあ今日はゲーセンでも行くか!!」
はるひ「ゲーセン?」
祐輔「ゲームセンターだよはるひちゃん」
千架「ゲーセンも知らねえのかよ」
はるひ「だって〜…………」
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こうやって、いつまでも笑ってられたら、きっと幸せなんだろう。
これ以上の踏み込みはせずに、ここで留まって居られたのなら、それが一番良いのだろう。
──だけど彼等は歩み続ける。
それぞれの胸に秘めた小さな種と共に、ゆっくりだけど、確実に。
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