crazy for YOU
□そんな設定、忘れてました。
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真琴「はるひ!? だ、大丈夫か膝擦りむいてんじゃんか!?」
はるひ「へっ!? あぁホントだ!! さっき転けた時かな!? うぅぅ……優ちゃんに怒られちゃう」
よっぽど一生懸命だったのか、真琴に指摘されてようやく膝の痛みに気付いたはるひは力が抜けたようにしゃがみ込んでしまった。
和希「あーあぁ……ホラ足出せよ」
そしてそんなはるひを例によって和希が手当てした所で、昼休み後、5時間目終了のチャイムが鳴り響いた。
真琴「うげ……授業サボリかよアタシ等;」
はるひ「だいじょぶだよ一時間くらいっ!」
真琴「いや、アタシの記憶じゃあまともに授業出たこと無いぞ」
千架「……早坂」
多少なりとも責任ある千架は、浅く溜め息を吐くと続けて扉を親指で指しながら言った。
千架「蹴破れ」
和希「ち、千架ァァア!?」
真琴「お前アタシに問題起こさせて責任転嫁か!?」
千架「良いから蹴破れ」
はるひ「よしっ! じゃあはるひが──」
千架「怪我人は下がってろこの問題娘」
はるひ「あだっ!?」
ガッツポーズで歩み出たはるひを、千架は見もせずにデコピンで追い払うと、再びあの一言を口にした。
千架「蹴破れ」
真琴「──チッ!!!! あーもうどうにでもなりやがれチキショォォォォオオッッ!!!!」
──バコーンッッ!!!!
もう諦めにも近い声を上げ、真琴は生徒会室の扉に自らの怒りの全てを託した。
和希「……スゲー」
次の瞬間──
「何事だァァア!?」
──隣にある職員室で仕事をしていた教師が慌てて飛んできたのは言うまでもない。
真琴「あぁ? この馬鹿生徒会長様がぶち破れっつ──「お騒がせしてすいません」──出た猫被り」
千架「実は生徒会室のドアが壊れていて、一時間はなんとか開けようと健闘したんですけど……ただこれ以上僕はともかく桜華原さんや早坂さん、南野さんに斎藤くんが居ないとなると先生方が心配すると思って、少し荒っぽかったと思うんですけど腕っ節の強い早坂さんに扉を壊して貰ったんです。 これは僕の独断でしたことなので、彼女は責めないであげてください……それとさっきの授業の事ですが──」
教師「あ、あぁ分かった。 望月の言うことだ信じよう。 大変だったなお前たち。 それと授業の事は俺から担任に説明しておこう」
千架「ありがとうございます(王子笑」
納得したように帰って行く教師を後目に、千架は舌を出しながら、
千架「はwww」
鼻で笑うと、倒れている二つの扉の内一つを持ち上げて壁に上手く立てかけた。
続いてもう一つに手を伸ばそうとした時、
はるひ「はるひも手伝うっ!!!!」
千架「──おまっ!!!!」
こういう作業には一番邪魔なはるひが手を出してきた。
その瞬間──地面が大きく揺れた。
はるひ「〜っ!?」
真琴「うわ地震か!?」
和希「結構でけーな……っ!!」
千架「──!!!!」
揺れが段々収まりゆく刹那、千架の目に映ったのは……
千架「避けろバカ!!!!」
地震がよっぽど苦手なのか、その場にしゃがみ込んでいるはるひに襲い掛かる思い扉だった。
千架「──っ!!!!」
──ガシャァァン
千架も、真琴も手を伸ばしたが間に合わず、全員が息を飲んだその時、
「……だから、はるひちゃんに片付け、させないでよ……」
いつも通りに眠そうな声がして、はるひの上に被さるように倒れた扉が持ち上がった。
和希「……祐輔!!!!」
唯「血、出てるけど、頬から」
祐輔「ガラス割れたからね」
真琴「危機感ねぇなぁオイ(汗」
千架「……」
まるで当たり前のように、だが唐突な祐輔の登場に、全員思い思いの言葉を投げかけている。
そしてそんな祐輔の右手は、見た限りは無傷なはるひの右手を引いている。
はるひはあんまりの出来事に放心しているのか、目に涙を浮かべたままに不自然な程無口だ。
祐輔「──はるひちゃん?」
そんなはるひの様子に気付いてか、祐輔は振り向いて声を掛けた。
祐輔「怪我、無いよね?」
そうしてはるひに目線を合わせてかがんだその時、祐輔の頬から赤い血が床に落ちた。
はるひ「──っ!!!! ゆ、祐くん……血、血!!!!」
祐輔「大丈夫。 ……それより」
──パシンッ
乾いた音が、廊下に響いた。
祐輔「なんで、危ないことするの?」
はるひの頬が時間差で赤くなっていくのを見ながら、祐輔は今にも泣きそうな声で言った。
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