crazy for YOU

□ペナルティー
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真琴「っつーか、ウチ等は雑談しに来た訳じゃねぇっつーの! 修 学 旅 行 !どうなんだよ!」


 危うく授業を抜けてわざわざ教室から生徒会室まで来た理由を思い出し、真琴は目の前の和希に何故かアッパーを食らわしながら怒鳴り散らした。


唯「あぁ、そうだ。 結局……どうなるわけ?」


和希「おおお……珍しく南野からものスゲー怒りのオーラを感じる」


はるひ「和ちゃん鼻血鼻血っ!」


祐輔「大丈夫だよはるひちゃん、いつものことだから」


和希「えぇぇぇぇ!? 祐輔も皆も少しは俺の心配しろよ!? っつーかしてください!


 和希がそんな嘆きの言葉を上げて、物凄い勢いでスライディング土下座をかました瞬間──



千架「修学旅行は……この六人で行くことになった……」



 ──まるで迷宮入り寸前の事件の犯人を発表するかの如く、千架が重苦しい口調で言葉を放った。


 その後一瞬の沈黙があったものの、


はるひ「ほんと!? ほんと!? 千架ちゃん、ほんと!?」


真琴「……まぁ教師にベッタリされるよりかマシか」


唯「女子たちの視線が痛そうだけど……」


和希「ある意味一番良いんじゃね!? 千架も猫かぶる必要ねぇし!」


 思い思いにそれぞれが騒いだ。


 皆言葉は違えど反対の様子は微塵も見られず、特にはるひなんかは飛んではしゃいでいる。


 祐輔はというと、特別驚いた様子は見られず、ただほんの少し口角を上げて微笑んでいる。


 千架はそんな全員を見回し、溜息こそは出さないがえらく呆れた様子で祐輔に尋ねた。


千架「お前、教師に何か言ったろ……」


祐輔「ん? ……秘密」


 それに対して祐輔はいつも通りに緩い笑みを見せると、


祐輔「じゃあ、後は適当によろしく」


 そう欠伸混じりに千架の肩を叩きながら、窓際の机に登り、横になった。


 そしていつも通りに、30秒もすれば微かな寝息が聞こえてきた。


千架「…………はぁ」


 こうしてますます千架の心労は募るばかりであった……。



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