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□それでもガキだと君は笑った
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「雨って憂鬱ですよね」
「そうか?」
他愛もない会話をしてれば山崎が唐突に言った言葉
「って言っても本当は好きだったり」
「どっちだよ」
「雨に濡れれば、身体に纏わりつく血も洗い流してくれそうな気がして」
「・・・」
「でも、無理なんですよ」
山崎は縁側の柱に凭れかかると土方はその隣を座った
「だったら辞めればいい」
「俺は、この仕事を誇りに思ってますから」
「・・・無理すんな」
土方はそう言うと山崎の頭をくしゃりと撫でた
山崎は今にも泣きそうな顔を土方に見られないように俯かせる
「・・・昨日だって、密偵の仕事でバレそうになって人を殺して。俺、それでよかったんですか?」
「知らね、だが・・・お前が戻ってきてくれて俺ァ良かったと思ってる。仮に、お前が冷たくなって帰ってきたら、俺ァ一人でそこに乗り込んでめちゃくちゃにしただろうよ。だから、どんな事があっても生きろ」
その言葉に大粒の涙を山崎は零した
何も言ってもらえなかったらどうしようという不安感に襲われたが、今安堵している
「副長っ」
安心した山崎は土方に強く抱きついた
土方は突然の事でバランスを崩し、二人は床に倒れた
「オイ、ガキかよ」
「今だけ、ガキでもいいです」
「誰かに見られたらどうする、間違いなく勘違いされるぞ?」
「俺はかまいません」
「ったく」
いつも暴力的な土方だから新鮮に感じたのだろう
女だったら惚れていたと山崎は思った
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