□かたち
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 特に帰路を急ぐでもない約1週間かかった任務の帰り道、何でもない雑談に混ざった爆弾発言に私とナルトは声を上げて立ち止まった。

「何時からよ、それ! 全然知らない聞いてないわ!」

私の横で青い瞳をめいっぱい開いた驚きの表情でナルトが頷く。

「ま、言ってないから知らないのも当然でしょ」

「ヤマト隊長は知ってたのかよ?」

「うん、まあ。カカシ先輩とはかなり長い付き合いですよね。彼女?」

ナルトに聞かれたヤマト隊長もなんでもない事のように言った。

「そうだねぇ。顔はアカデミーの頃からなんとなく知ってたけど親しくなったのはもう少し後かな」

のんびりとした口調でカカシ先生がどうでも良い事みたいに答えたから私は思わず声を荒げてしまう。

「なんで黙ってたのよ?! お祝いしたのに」

「ま。落ち着くとこに落ち着いただけだから」

「だけ? だけって何よ! 一生涯に関わるようなことじゃない!」

「そうかもね。でもだからこそ本当になるべくしてそうなったんだと思うよ」

 私たちにとっての驚きの新事実は、帰り道、暇に任せて聞いた一言によって明かされた。



「先生って浮いた噂ないわよね。子供の頃からそういうの聞いたことないんだけど」

「ああ。俺、結婚したから。最近だけど」

『え?』

私とナルトの口が同じ形に開く。


『えええぇえぇぇえ!』


「いつよ、いつ?」

「っていうか相手は誰だってばよ?!」

「お前たちの知らない間に、お前たちの知らない人と」

そう言って先生はにっこり笑ってみせたのだった。

「ぼくの知っている方ですか?」

サイがヤマト隊長をみあげた。

「任務が一緒になったことはあったかもしれないね。……その点をいえば姿をみたことならきっと皆あるんじゃないかな」

「え、どんなひと?」

喋ってもかまわないのか、というヤマト隊長の視線を受けてカカシ先生が教えてくれる。

「背が高くてね、俺よりちょっと年上の赤毛の器量良し」

考えても思いつかない。
先生の古い知り合いであるならばその人は現役暗部かもしれない。だったらきっと素顔をみてはいないだろう。

「先生の奥さんに会いたい」

そうぶつけても適当にはぐらかされるばかりだった。
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