CP

□短編
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 サクラ、17歳くらい。カカシ視点




「やってみたいことがあるの!」

俺の恋人はそう言って無邪気に笑った。



ミルクを落としたような甘い抹茶ラテを思わせる瞳が日向で煌いてみえる。

そんな目を向けられて嫌と言える輩はいないだろう。

同じく陽光を浴びて、天使の輪を作る、本人が前ほど綺麗じゃないの、という桜色の髪は艶やかで梳けば指から零れ落ちてしまう。

どうして、綺麗だと思うけど?

そう言えば、じゃあ、もう少し落ち着いたらまたちゃんと手入れをして伸ばそうかしら、とはにかむ表情も愛らしい。


彼女の要求はいつも些細なことばかりで、俺にはいつも容易い。

「いいよ、ほら」

彼女が握っている俺の腕に少し力を入れると最近ぐっと大人びてきた顔に子供のような笑みを浮かべ、ぎゅっと腕を抱え込んでしがみ付いてくる。

胸、胸が当たってるから、サクラ! 俺は彼女が足りないと気にするその胸も好きだ。

俺が大きくしてあげようかと言ってセクハラと怒られたのは秘密だ。

ぐいっと腕を上げてサクラを持ち上げてやると楽しそうな笑い声が聞こえてくる。

「あはははっ。私あの頃のナルトより全然重いんだけど持ち上がっちゃうものね!」

ありがとう、カカシ先生。

そう言って彼女は手を放した。

俺の彼女に対する最大の不満はこれだ。長い師弟関係から、彼女は俺を先生としか呼ばない。指摘すると、

「だってずっとそうだったんだもの。すぐには馴染まないわよ」

なんて言われてしまった。ベッドの上でだってそんな感じだから悪いことをしているような気分になる。

だから彼女が「カカシ先生」と呼び終わる前に彼女の奥に収まった己で彼女の気持ちが良いところを擦り上げて喘ぎに換えた。

俺にしがみつき、背に爪を立てて嬌声をあげる彼女を思い出して背筋がぞくりと震える。

「先生、寒い?」

小首を傾げて問いかけてくる様子もまた可愛くて、己の妄想が、欲が、掻き立てられるが純粋に心配してくれることもうれしい。

平気だと告げると、暖かくして早く寝てください。というので抱っこして寝たいな、と告げて手を取ると、途端に頬に朱が走り、俯いてしまう。

彼女の手が薄っすらと汗をかき、彼女の匂いがする。

「先生の家、行ってもいい?」

俺は抱きしめたい衝動を我慢して、うん、と答えた。


彼女の要求はいつも些細なことばかりで、俺にはいつも容易い。

まだ少女である彼女の可愛いお願いごとは俺にとって新しい。

「私、ナルトが羨ましかったのよ。あの頃は優等生ぶってたし、子供っぽいって思おうとしてたんだけど」

任務から帰って来た俺を襲ったのはサクラだった。

ばさり、と彼女は文字通り俺めがけて上から降って来た。修行をつけて、と強請るナルトのように。

俺を下敷きにして笑う彼女はどこまでも無邪気でただじゃれたいだけなのだろうが、俺はそうもいかない。

にこにこ笑顔の彼女の後頭部に手を回し、引き寄せてキスをする。

驚く彼女の唇をぺろりと舐めて寄せた顔を離すと、

「いたずらのお返しのつもり?」

と口元を押さえる。

もっとして欲しい? と尋ねればサクラの唇が俺の頬に触れた。

「先生、もっとして欲しい?」

そりゃ、して欲しいに決まってるでしょうよ。

身体を起こし、彼女を抱き上げると、俺は急いでアパートに向かった。

きっと今夜も彼女を抱いて眠るのだろう。




おしまい
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