story
□迷い日
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まだ葉に夜露が残る時間の通学路
その道を、ギターを担いだ男子学生が歩いている
そして、彼と一緒にオレンジ色の髪をした男が歩いている
「…先生」
「ん?」
「俺が今見てる景色の先には…向こうには何があるんでしようか?」
彼の質問に「先生」と呼ばれた男は答える
「なら、俺が今見てる景色の先には誰が居るかわかるか?」
「わかりません」
質問を質問で返したが、その答えなんて解るハズもなくて…
「神だろうと悪魔だろうと、答えの解らない時だってある。
そうだろ…ナカジ?」
ナカジと呼ばれた学生は小さく頷いた
男はさらにナカジに説いた
「エゴだってそうだ
エゴには自我や自惚れって意味なんだけど、それは 昔っから人間にあっただろ?」
「はい。 先生にも…
俺にも…」
「例えば…世界中の法だって、自分の中の法だって…知ってなけりゃ自分も他人もどうしようもないんだ」
自分の少し先を歩く「先生」は、だいぶ明るくなってきた空を掴むように手を伸ばす
ナカジから見た「先生」は鳥のように自由で…荘厳で…
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