お題
□見知らぬ場所、見知らぬ自分
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掌に乗せられた小さなそれは
金色の包み紙に入った
星形の金平糖だった。
「春のくせに暑すぎんだよ」
少しずつ桜が花開く三月初旬
今年は二月頃も寒さを感じる事なく、初夏のような暑さが訪れた
「…大丈夫か、リオン?」
自分の一歩後ろを歩くリオン…彼に声をかける
「大丈夫です、レッド…さん」
何時もの敬語口調だがどこかおかしい
──本来なら「レッド君」と呼ぶ筈が、今は「さん」付けで…
「無理すんな。誰だって突然記憶なくしたら精神的に参るって」
そう、今のリオンは記憶喪失
リオン本人も、レッドも、そして医者にもそうなった原因が解らなかった
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