Clap
□FD side story
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case.1 Noel By Julius
やばい、ふらふらしてる気がする。よく考えたら昨日の夜から自習室にこもっていた…かもしれない。さすがに二日続けて自習室に泊まり込んだらマシューにまた注意される。…そういえば昼間にマシューが来て何か言ってた気がする。なんだっけ?
部屋に戻ったらきけばいいや、そう思って鏡に向かうと困ったような顔をしているルルと、頬を染めてうれしそうにルルの手を握っているノエルがいた。
「僕たちは学生としての領分をだな…」
…俺にはよくわからないけれど、恋人同士というのはそんな難しい話を別れ際にするのだろうか。そう思っていると、ルルがノエルに手を離してほしい、というようなことを言ったあと、おやすみのあいさつをして女子寮に入って行った。よかった、これで部屋に帰れる。マシューに怒られずに済む。
鏡に近づくと呆然としていたノエルが急にこっちを見た。
「ユ…ユリウス!!貴様、いつからそこにいた!!」
そう俺に詰めかけるノエルの顔はさっきのように赤くなっている。今度はどういった理由なんだろうか。
「いつからって、ついさっきかな?君とルルがそこにいたから待ってたんだけど…じゃあ、俺行くから」
そう言って鏡を抜けようとすると、ぐいっとノエルに腕を掴まれた。
「み…見てたのか?」
「…何を?」
一体何をそんなにあわてているんだろう、そう思ったとたんに襟首を掴まれて…たぶんすごんでいるんだろう。すごまれた。
「見たんだろう!!いいか、絶対に誰にも言うんじゃないぞ!!…まぁ、僕にとってはどうってことないんだがな」
すごい勢いでがくがくと俺をゆすった後、手を離して、なぜか最後だけはいつものような態度でいった。
ノエルも、うん、ルルが絡むとわけがわからない。
「おい、わかったな!!」
「あぁ、わかったから…もういいだろ、ノエルもそろそろ部屋に戻ったほうがいいよ」
もう少しで部屋についたのに、最後の最後で大変な目にあった。
彼女のまわりは不思議でいっぱいだ