Long

□恋におぼれる彼
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…最近、エストの様子がおかしい。

いつもは私の方がエストにべったりで怒られるのに、逆だ。

朝は私が遅くても待っててくれるし、お昼も待ち合わせて一緒に食べてくれる。

帰りもやっぱり待っててくれて、夕食も私が食後のデザートを口いっぱいに頬張るのを呆れながら見ている。

ここまでは、今までも私につき合う形でしてくれることもあったけど…問題はこの後だ。


「ルル、今日も談話室に行くんですか?」

「う、うん…だって、昼間はなかなかみんなに会えないし」

「はぁ…そうですか」


この会話も何度繰り返しただろう。そのたびに、エストはため息をつきながらついてきて、たいていは読書をしている。

談話室はエストにとって心地の良い場所では無いらしい。


「…っ、エスト、どうしたの?」


今日もそうするのだろうと歩き出そうとした時だった。

つん、とマントに引っかかりを感じて振り向くと、エストがマントの端をためらいがちに掴んでいた。

子供っぽい仕草に胸がきゅん、として『可愛い』という言葉が口に出そうになったが、なんとかそれを押しとどめる。


「す、すみません…!!」


無意識の行動だったのか、エストは慌てて手を離すとうつむいてしまった。


「ね、エスト。最近なんか変だよ?どうかした?」


エストの行動は可愛らしいけど、絶対に変だ。きっと何かきっかけがあるはずだけど、全く思いつかない。

エストの事だから、すごく大変な事を隠しているのかもしれない。もしそうなら話して欲しい。

 
 

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