Long
□銀の双玉
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「…まったく、大人げないよね、アニス?」
「今更だな」
いつも以上の無愛想はいったい誰に似たのか。お母様にそっくりな繊細な顔立ちのせいで散々いじられたせいだろうか。
「すぐ帰ってくる」
「大丈夫よ、別にアニスが居なくても」
お母様譲りの真っ白な肌に、お父様譲りの私と同じ銀の髪を持つ年子の兄は、お父様の仕事のなかでも、私がこの国の習慣で気軽に外に出れないために外の仕事を担当している。
最近は顔が知れ渡ったが、外の仕事を始めた当初は女の子(=私)と間違えられて大変だったようだ。
17歳になった今でも間違えられるのだ、子供の頃なんて言うまでもない。それはもう紅顔の美少年だった。
「大丈夫じゃない。どうせ今日父様はお母様につきっきりだ。俺が帰ってくるまでに何かあっても軽々しい行動をするんじゃないぞ。特に、宮の外には出るな」
「もう、わかってるってば。いつまでも子供じゃないのよ」
体調を崩したお母様から離れないお父様の代わりに、視察に行く準備をしながら、兄は私に子供に言い聞かせるようにしゃべっている。
去年の自分を思い出してほしいものだ。できた兄だと尊敬はしているけれど、過保護な気がする。